第27話 発掘者とエクスカベーター
なぜかなんでも知っているクルミさん。
口だけで世間を騙くらかすギンゾウさん。
魔道具開発のエキスパートのツワブキさん。
ずっと走って泣いてる(魔石のエキスパートらしい)コウタロウさん。
ちょっとなにこれ、よく考えたらドリームチームじゃん。
僕に何ができるのかなんてわからないけど、やる前にあきらめちゃダメなんだと思う。
「あの、少しだけいいですか?」
「なんでしょう?」
「いったい僕は。僕には何の特殊能力もないんですよ、なのになんで?!」
「ほらまた、その顔。誰が決めたんですか? 能力がないなんて」
「え?」
「アダン君。あなた、あの宿でどうやってペルセポネの刺客を捕まえたんですか?」
「え、っとあの銀の玉を」
「そうですよね、あの銀の玉に入っている魔石は通常の人には扱えないんですよ」
「え? それは?」
「あの魔石と同調できる人は本当に稀なんです。それだけでも、十分に特殊能力なんですよ」
「え? え? だって、そんな話、今まで全く聞いたこともないですよ? って、なんでクルミさんはそんなになんでもわかっちゃうんですか?」
「え? なんでもなんてことはありませんよ、アダン君」
と言ってほほ笑んだあと、真面目な顔で僕を見つめる。
「アダン君。情報はね、どう繋げてどう考えてどう出すか、って事なんですよ。今回の件はアダン君と私とでは視点が違っていただけなのです」
「いや、でもその情報はどうやって?」
「うふふ、アダン君。世の中には知らないほうがいいこともあるのですよ。まあ、おいおい知っていただきますけど」
「アダンちゃん、今それ知っちゃうとクルミちゃんと戦争しなきゃいけなくなるよ」
「ええ? 嫌ですよ、クルミさんに勝てる武力も兵力も揃えられそうにありません」
「そうですよ、アダンさん! そんなことを考えるくらいならシラトナお聞きなさいな。いいですよ、シラトナは! 音楽にはね、人を幸せにする力があるんです!」
「アダンさん、ひっく。私は本当に魔石のことしかわからないんです。魔石には、いろんな色があるでしょう、ひっく。あの色にはね、意味があるんです。その魔石をどう組み合わせるのかで魔石の使い道は変わるんです、ひっく。そして、私にはわかりませんが、なぜかここを引き払うというお話、ひっく。もう私にはなにがなんだか、ひっく」
「すみません、長くなります、その話? ってかツワブキさんの音楽はまだしもコウタロウさんの魔石の話は全く意味が分かりません」
「だろ? アダンちゃん、そういうことなんだよ。そもそも意味が解らないことをわかろうとしても意味はないだろ?」
「それどういう意味ですか?」
「意味なんかないよ、今考えたんだから! 世の中ってやつはそう言うもんなんだよ、アダンちゃん!」
「やっぱりギンゾウさんに意味なんかないんだ。はぁ、わかりました」
決めた。
この人たちと一緒に、僕は僕のできることをやっていこう。
「ふつつかな所長ですが、皆様、どうぞよろしくお願いいたします!」
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