第14話 やるかやらないか
「ここは、モルぺス販売発掘事務所です。アダンさん、ここからはあなたが決める事ですが」
「何をですか! いったい何を決めるって言うんですか?!」
「あなたは、どうしたいんですか? このままここに残りますか? それともこの話を知って仕返ししたいと思いますか?」
「そ、それは」
「復讐したいとは思いませんか?」
それは確かに考えたことがないわけではないけれど。
でもそれは、あまりにもリスクが高い気がする。
「でも、いったいなんで? なんでそれを僕に言うんですか?!」
そこに髭クルンおじさんのツワブキさんがやって来た。
「あら、なんだか今日はお忙しそうですねえ、皆様お揃いで。んで、今日は何をするんです? クルミさん」
「あらツワブキ博士。やっとピースが揃ったので始めようかと思って」
「あら、そうなんですか? 忙しくなりそうですねえ、楽しみです! それでは私は音楽を聴かせていただきたいのですが。ああ、後に? はい、ではお話をお伺いしましょう」
「はい、では皆さん集まっていただいたので説明を始めますね。まず、モルぺス販売アラクサ社長が横領を行っていた件について。そしてその証拠となる魔石はこちらで押さえました。では、本題に入ります」
「それでどうしますんです、クルミさん?」
「ギンゾウ、通信電波傍受の結果は?」
「うーんとね、まあまあ」
ギンゾウさん、なんでこっちをチラチラ見てんだろ?
「そう。わかりました。コウタロウさん、ギルドはいつ返事がきますか?」
「はい、できるだけ急いでと伝えましたので三日以内には」
「ありがとうございます。ツワブキ博士、あれは使えますか?」
「もちろんです! いやあ、やっと日の目を見るんですねえ、感慨深い。あれは、今から十五年前、私は魔導研究のためあちこち旅をしておりました。その時、私の胸にはいつもシラトナがありました。彼の音楽にはなんでしょう、夢があるんです! そう、とてもとても素晴らしい夢がね!」
「はいはい、わかりました。さて、ここからです。アダンさん」
びっくりした。
なんなんだ、この人たち。
何をしようとしてるんだ?
「は、はい!」
「あなたがやる、と言えば計画は進んでいきます。まあやらないと言ってもおそらくやることになると思いますが、一応確認しておきます。アダンさん、あなたはこの計画に乗りますか? 乗りませんか?」
「僕は……」
どうしたらいいんだよ!
わかんないよ!
え? ちょっとまって。
「やらないって言ってもやることになるってどういうことですか? クルミさん!」
無言でギンゾウさんをゆびさすクルミさんだった。
「ああ」
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