いつの間にか、いつまでも、
白川津 中々
■
彼女の顔を見る度に俺は愛というのがよく分からなくなる。
男女の仲になって十年。結婚はしていない。なんとなく踏ん切りがつかず、だらだらと関係を続けている。別段席を入れる事に抵抗などなかったが、いざ考えてみると足踏み、停滞。「バツがつくから」などというくだらない価値観からではない。彼女と生涯をともにするという契約を交わす事に尻込みしてしまうのた。
彼女とは運命的な出会いとか、長い間信頼してきたとかそんなもので付き合ったわけじゃない。行き摺りで一緒になって今日まで続いているだけ。一目惚れとかでもなく、単純に性欲処理のつもりで一夜、ニ夜を過ごし、いつの間にか同じ部屋に住み始めて、情が湧いて、離れられず、互いに傷を舐め合うように貪り続け、そうして、十年も経った。十年経っても、俺はまだ彼女との間にある愛を知らない。
俺は彼女を愛しているのか、性欲のはけ口にしているだけなのか、傷を舐め合いたいのか、どうしたいのか、愛とはなんなのか。愛、愛、愛。俺の愛とはなんなのか。彼女は俺に愛を教えてくれない。俺も彼女に、愛を教えられない。二人で、孤独で、寂しく、寂しく……
いつの間にか、いつまでも、 白川津 中々 @taka1212384
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます