第30話 「三幕構成」をIT化してみよう。(その1)

 創作法指南書にたびたび登場する「三幕構成」はハリウッド流脚本執筆のメソッドである。日本流に言えば「序破急」に該当するのだろうか。

 日本では「起承転結」が創作の基本として定着している。言ってみると「四幕構成」ということになるが、「三幕構成」でも全体を4つのパートに分けることが多い。じゃあやっぱり「四幕構成」じゃないかと突っ込みたくなるが、呼び方はどうでも良いので方法論を上手く活用していきたい。


 そもそも欧米圏では論文・レポートも「三部構成」で書くものとされている。「序論/本論/結論」の順に論ずる。

「序論」とは「その論文で論ずる問題が何か」を語るパートだ。導入部であり、結論への伏線になっている。

「本論」は研究の推移や、思考の過程など、結論に至る経緯を書く。

「結論」では「提起した問題に対する結論」を書く。


 この「三部構成」は(教育を受けた)欧米人の脳髄に叩き込まれている。言論とはこういうものだと、徹底的に刷り込まれているのだ。

 だから彼らはディベートに慣れており、プレゼンに物おじしない。


 同時に彼ら欧米人は徹底的に現実主義者だ。わかりやすい例として、法制度において慣習法や判例主義という「過去の実績に基づいて判断する」というシステムが当たり前に根付いている。

 「理論的にこうだから、このケースはこう判断すべきだ」という思考もできるが、それよりも「このケースは過去にこうだった。だから、これも同じだ」という思考の方を優先する。


 だから、欧米では「ケーススタディ(事例研究)」が学問の中心になっている。


 三幕構成もこれに同じ。「過去の名作」がこうなっているから、これが正しいというアプローチなのである。

「なぜ、それが正しいのか?」を聞いてはいけない。「だって、正しいんだもの」という答えしか返ってこない。


 糞程ある事例がその証明だと、彼らは言うだろう。


 使えるものならそれでいい。ここは馬鹿になって騙されてみよう。


 三幕構成の説明は公式のエッセイ「きちんと学びたい人のための小説の書き方講座」(フィルムアート社/フィルムアート社)【https://kakuyomu.jp/works/1177354055193794270】を参照のこと。


 本稿ではこの構成法を使用するための「テンプレート」を執筆ツールNolaのプロット機能で作成した事例を紹介する。


 三幕構成にも「亜流」(?)が色々ある。テンプレートとして機能させるにはある程度詳細にパーツわけする必要がある。そのパーツわけ方法に様々な流儀が存在するわけだ。


 ここでは「ブレイクスナイダー・ビート・シート」を事例として取り上げた。一番売れている本だというので、乗っかってみた次第。


 でもって、いきなりその結果がこれ。


【画像1】https://kakuyomu.jp/users/hyper_space_lab/news/16818093085063561348


【画像2】https://kakuyomu.jp/users/hyper_space_lab/news/16818093085063657932


 Nolaの有料版を使用している。そうしないと「起承転結」以外のパターンを利用できないはずだと思った。子プロット機能も有料版でないと使えない。


 まあ、「三幕構成」は実は4パートだと言った通り、「起承転結」を「第一幕/第二幕前半/第二幕後半/第三幕」に置き換えれば、無料版でも使えないことはない。

 子プロット機能も、なければないでやりくりできないこともなさそう。


やってみたら意外と楽しいかも。

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