第31話 【番外編】「自主企画」を考える。
カクヨムには「自主企画」という仕掛けが用意されている。
・企画主は「テーマ」を決め、それに沿った作品を募る。
・作者は「テーマ」に沿った作品を書き下ろすか、過去作から掘り起こして「自主企画」に参加登録する。
・読者は「自主企画」の告知を読み、興味を惹かれたら「どんな作品があるか?」と企画のページを見に行き、気に入ったら参加作品を読む。
概ねこういう流れが想定されていると思う。
自分なりに推測すると、「関心や興味を共通にする人たち」が一箇所に集まって、「何らかの交流」を行い、創作~読書「活動を活性化する」ことを目的としているのだろう。
自主企画には作者にとってのメリットがある。自主企画に参加すると、企画の通知が流れることにより読者を作品に誘導する、いわゆる「導線」が形成されるのだ。
実際の話、かくいう筆者も作品の宣伝目的で数多くの自主企画に参加させていただいた。企画主さんたちには大いにお世話になったことを、この場を借りてご報告し、お礼を申し上げたい。
自分で企画を立ち上げて、自作を参加させたこともあった。
少しでも読者の目に触れる機会を増やすことを願った行為である。
しかし、現在では自主企画への参加をやめている。
その理由は、先ほど言った「導線」を自主企画に頼るメリットが薄れたからだ。
・代表作「飯屋のせがれ、魔術師になる。」が900万PVを超える閲覧実績を確立した。
・同作の作品フォロワー数が13400人を超えた。
このような実績により、一定の集客力を得たためである。
もう一つの理由は、「自主企画のデメリット」にある。
カクヨムの運営ルールにより、「同一企画に参加しているユーザーからの作品評価はそれ以外の読者からの評価に比べて低いポイントで評価される」という制限があるからだ。
よって、自主企画への参加を打ち切るに至った。
と、ここまでは一応自分なりの「自主企画」という仕掛けに関する考え方なのだが、昨今の(といっても自分が見ていた状況は数カ月前のものだが)自主企画の実情を見ると、別の要因が自分にとって自主企画を遠ざける。
それは「読み合い企画」の増加である。
あるテーマに沿った作品を募集しつつ、「参加者はお互いの作品を読み合う」ことをルールとした自主企画。ここではそのような企画を「読み合い企画」と呼ぶ。
それ自体は運営ルールの枠内であり、運営から制限されるものではない。しかし、個人的には甚だ居心地が悪い企画に感じる。
参加者に「ある行動を強制する」ルールを課すからだ。
もちろん、企画主には「罰」を与える力などないので、強制したところで「執行力」はない。それでも企画主には「任意の参加者を企画から排除する権限」が与えられており、一般参加者とは保持している権限に差がある。
そのような「力の差」が存在している状態で、執行力はなくとも参加者にある行動を「強制する」という関係性が、いかにも気持ち悪い。
なので、以前も「読み合い企画」にはできるだけ参加しないようにしていた。
これらの諸点を総合すれば、自分は「アンチ自主企画」的なポジションにいると思う。(良い自主企画もあるし、良い企画主さんも存在する。それらを否定するつもりは毛頭ない)
それを認識しつつ、「自主企画をもっと活性化するにはどうすべきか?」を今回考えてみた。(こんな自主企画ができれば活用してみたい――かもしれない)
【独断と偏見による自主企画機能充実案】
①BBS機能の実装
②アンソロジー機能の実装
③ファンクラブ機能の実装
個別に内容を説明したいと思うが、基本にあるのは「コミュニケーション手段の提供」と「アウトプット手段」の提供である。この2点によってユーザー・インボルブメントが向上し、承認欲求が満たされる。
まず、①のBBS機能であるが、いわずと知れた掲示板機能である。企画主は自動的にボード主となる。企画ごとのボード上では参加作品に関する意見交換を行うことができる。ここは、作者、読者、企画主がコメントを発信する場である。
作者同士が意見交換すれば、そこは「同人」や「同好会」「研究会」のような場となり、お互いに建設的な批評を行ったり、アドバイスを求めたりすることができる。
創作において客観的な他者評価が重要なことは言うまでもない。
また、読者と作者が会話する貴重な場となる。
「それなら『応援コメント』とか、『近況ノート&コメント』がある」と言われるかもしれないが、前者は「エピソードに対して肯定的なコメントを書きこむ」ツールであって、作品単位で批評するような行為には適さない。後者は一方通行ツールの性格が強く、作品への紐づけも難しい。コメントのスレッド化もできない。
②のアンソロジー機能は、「疑似的な電子出版」によって「同人誌」をサイト上で実現する機能である。要するに自主企画への参加作品を「1冊の書籍として閲覧させる」のだ。
ここにおいて、企画主は「編集者」となる。アンソロジーへの前書き、後書きなどをつけられるようにしてあげれば編集者に「出番」を与えることができるし、「選集」を可能にすれば「良いアンソロジーを編む名編集者」として活躍することも可能だ。
③のファンクラブ機能は、読者サイドからの発信に焦点を当てる機能だ。読者(読み専でもよい)が企画を立て、特定作品、特定作者、特定テーマにそった作品・作者に関するコメントを募る。
好きな作品などについて語りまくるというファンサイト的なコミュニケーション・ツールである。
内容の一環として「ファンアート」を投稿する機能があってもよい。文は苦手だが絵は描けるというユーザーもたくさんいるはずだ。
◆
運営さんがこんな隠れエッセイを読むとは思えないが、もし目に留まったら是非一考してもらいたい。
あの手この手でカクヨムの活性化を仕掛けていますよね?
ユーザー同士が勝手に盛り上げてくれたら、運営が楽になると思いません?
ざっくり言ってしまえば、自主企画を「2ちゃんねる」にしてしまえっていうことなんですがね。当たれば時代が変わりますよ?
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