第1章 純白の少年 第15話 母の崩壊

その日、私は顔に青タンを付けて帰ってきた

「おかえり、今日も殴られちゃったの?」

「うん、体を抑えつけられて」

「そっか 、辛かったね」

「だからそんな奴殴り返せ!、それより、仕事の為に高い道具を買ったぞ!」

「そんな高いの買って大丈夫なの?」

「将来の為だ!」

ピキッ、母の心に亀裂が走る


その日、私は靴下で帰ってきた

「おかえり、靴はどうしたの?」

「捨てられちゃった」

「…、それは酷いね」

あの男は言う

「捨てたやつが悪いんだ!、それより、先行投資の為に金型を依頼したぞ!」

「お金大丈夫なの?」

「凄い高かったが、貰った金がまだまだあるから大丈夫だ!」

ピキピキッ、亀裂は走ってゆき


その日、私のテストの用紙はバラバラだった

「どうしたのその紙?」

「自分で破いた」

「本当の事を言って」

「僕が満天ばかり取るのが気に食わないって、ボロボロに破かれた。親には「自分が破いた」って言えって」

「…」

無言で抱きしめる母、言葉が出なかったようだ。

「破られた事なんか気にするな!、それより今日は樹脂を1タンク買ったぞ!」

「流石に不味いんじゃないの?」

「将来取り返すから大丈夫だ!」

バキッ!!!ついに崩壊する

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