第1章 純白の少年 第10話 地獄の始まり

その日は雨だった、長い通学路を帰っていると後ろから声が聞こえてくる

「あ、よそ者だ」

「1人で歩いてるよ笑」

「なにかやってやろうか」

そこで提案したのが亭男、主犯格の男だ

亭男は足が早くお金持ちのサッカー選手の長男、オマケに顔もいい、誰もが彼の言う事を聞くそんな人だった。

「みんな、よそ者を傘で囲ってやれ」

逃げる私

「よそ者が逃げるぞ、囲え囲え」

亭男が言う、私は足が遅くあっという間に囲まれる

全員が悪意の目で私を見てくる、ある者は蔑みを、ある者は敵意を、そして亭男は新しい玩具をもらった顔だった。

私は恐怖した、居場所がないどころでは無い、私は世界から悪意を持って接せられているのだ。

と、包囲に少し穴が空く。私はがむしゃらに走って突破する。

「逃げた!」

「待って、お気に入りの傘が、え〜ん!!」

「ちぇ、今日はここまでか」


帰ってひとしきり泣く

「何があったの?」

「傘でみんなに囲まれた」

「それは怖かったね」

自分も弱っているのに抱き寄せてくれる母

「そんな奴らはぶん殴ってやれ!ふんっふんっ」

あの男は素振りをしている、ちょっと次元が違う

その日は疲れて寝た、しかし地獄は始まったばかりだのである。

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