第1章 純白の少年 第07話 恐怖

家の2Fには巨大な鉄道模型の線路があった、丁寧な事に切り替えや高架、橋まである。あの男は本物が見える家に住んでいるのに鉄道模型を走らせるのが好きだった。

「今日は〜の電車だぞ」

「今日は〜のだ」

「これは関西の〜」

いつも上機嫌で永遠と喋っていた、適当に聞き流していたとき、ふいに線路の端に触れてしまった、その時である。

「俺の大事な模型に触れるな!!!!!!!!!!!!!!!」

視界が2〜3転、そして暗くなるー。


目が覚めるとあの男は変わらず模型を走らせていた「これはここを改造したのがミソなんだよね〜」

とりあえず私は謝った

「ごめんなさい、ごめんなさ「でね、ここがこだわりなんだ!」」

あの男が遮って言う、その後食事の時も寝る前も、夢中に話していた。


怒るとか悲しむとかならまだ理解出来るが何も無かったことになっていた。突き飛ばした事はおろか模型の線路に触れたことすら落丁してしまったのだ。

あの男にとって人生は常に完璧であるべきであり、それにそぐわないものは消されてしまう。私は恐怖した。


次の日は卒園式だった、花を胸につけた時校章のようで偉くなった気がした。

帰りに不思議な本を渡される

「この本は何?」

「これはね、立派な人の事が書かれた凄い本なんだよ」

ページを開くと〜から〜が産まれ、という内容が永遠と続いていた。敬虔な信者には申し訳ないが私には読むのを止めた。

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