第1章 純白の少年 第04話 引っ越し上

これから仕事を追い出される人間に部屋を貸してくれる人が居るだろうか、もちろん否である。

低金利の住宅ローンも借りれず、利率の高い借金をして一軒家を建てるしか道は無かった。

母方の親戚に大工が居たのでその人を頼ったようだ

「これからは借りてる家じゃくて一軒家に住めるぞ!」

あの男は快活に言った、強がりなのか楽天家なのかは今でも分からない。


幸い前の会社も鬼ではなく引越しまで社宅に住ませてくれた、見学に行ったがそこはかなり奥まった梅林の真ん中に土地がある歪な場所だった。

「どうしてここにしたの?」

「普通より高い土地だったけど、俺の好きな電車が毎日見れるからさ!!」

「 ー 」

私と母は閉口した、あの男は自分の事しか見えていない、そもそもの価値観が違うのだ。

「そら、電車がやって来たぞ!!」

あの男が少年のように目を輝かせる

対称に私は電車など興味無い、ただ揺れる地面と大音量に気持ちの悪さを覚えただけだった。

私は引っ越すのがほとほと嫌になったが、見上げるような家があっという間に建っていった。

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