第99話 記念パーティー
マジルド伯爵家の皆と会場入りし、数家の貴族様へ挨拶回りをした。
オルヴェルド公爵家の派閥の方々で何度かオルヴェルド城で見たことがあった方もいたり、オルヴェルド家所属の騎士や魔法使いの方の親もいて、多くの方々になぜか感謝された。
想像していた貴族様とは違って、気さくな方々だった。
「ドンヴェルド公爵家、リルヴェルド公爵、フェイヴェルド公爵家、オルヴェルド公爵家の方々おなーりー。」
四公爵の方々が会場入りした。
あぁ、一番はエアルリーザ様だ。
さらさらの金髪のロングヘアーが輝いている。
強気な赤い瞳と姿勢が相まって美しさや高貴さが溢れまくっている。
まだ少女になったばかりなのに、成長したら、やばいんじゃないか……
従者として大丈夫か?
やばくないか?
「とふ、ラハートフ。」
「は、はいっ!なんでしょうか?」
「エヴィンカル様達に挨拶に行くよ。」
「は、はい。」
あ、いや、まだ心の準備が、ちょっと待ってほしい……
「何止まっているの?行くわよ、ラハートフ。」
「あ、待って。」
心の準備ができぬままエアルリーザ様のところに来た。
挨拶で頭を下げるマジルド伯爵家の皆、慌てて同じく頭を下げる。
「エヴィンカル公爵閣下、さっきぶりです。」
「はぁ、お前はどこでもいつでも変わらないな。」
「それが僕の良いところですから。アウルーレ公爵夫人、トリーリア公爵夫人、リサトルーア公爵夫人、お久しぶりです。」
「アウルーレ様、トリーリア様、リサトルーア様、お久しぶりです。だいぶ魔力量が増えましたね。」
「えぇ、久しぶりですね。アガートルン伯爵様とニルサリア様のおかげですわ。」
「そうです。」
「そうですね。ありがとう。」
「お役に立てて良かったですわ。ご紹介します。私達の子供達です。」
「初めてまして、アガートルン・フィン・マジルド伯爵当主とニルサリア・フォン・マジルドの第一子ショコラン・フェン・マジルドと申します。」
「第二子リョーレンと申します。」
「第しゃん、第三子りゃ、ラハートひゅ、ラハートフと申しましゅ、申します……」
がああああああ
噛みまくったあああ
「おまえは、なぜ平民が「息子と娘を紹介しよう。挨拶をしなさい。」」
「初めてまして、エヴィンカル・フィン・オルヴェルド公爵当主とアウルーレ・フォン・オルヴェルドの第二子エアルリーザ・フェンオルヴェルドと申します。」
「……第一子エンダースだ。」
「エンダース君はエヴィンカル公爵閣下に似ているね。今から将来が楽しみだ。エアルリーザ嬢も全属性に膨大な魔力量、こちらも将来が楽しみですね。まぁうちのラハートフには負けているけど。」
「!?」
「そうみたいですね。ラハートフ様に追い付けるよう頑張りますわ。」
「え?あ、お、わ、私も、が、頑張ります!」
その、あたたかい微笑みはなんですかっ?
噛みまくったからっ?
恥ずか死ぬううう、帰りたいいいい……
エンダースサマに睨まれていることに気がつかず、そのあと残りの三公爵家や貴族のところにも挨拶に行ったみたいなんだが、覚えていない。
「国王様及び殿下方々様のおなーりー。」
意識が覚醒し入場口に目が向ける。
おお、国王様は威厳があるね。
イケオジだ。
あ、きた。
第四王子ホルスディン・エン・ドラゴライヴェルド、様。
国王様と同じく金髪、顔は王妃様似か?
支えたいと思わせる男だな。
その王子は国王様に耳元で何か言われて、エアルリーザ嬢の方を見て、顔を赤くした。
そりゃあ、天使様だから見惚れるのはわかるがイライラするな……
エアルリーザ様はどうなんだろうか?
後ろ姿でわからない。
オルヴェルド公爵家の方々が国王様達に挨拶をするとエアルリーザ様が第四王子の隣に立ち婚約発表がされた。
拍手を贈られる。
第四王子は顔を赤くして、エアルリーザ様は……
あぁ、作り笑いだ……
胸がぎゅっと締め付けられた。
何もできない自分に腹が立つ……
望まない婚約を破るにはどうしたらいい?
王命を取り消すことはできないのか?
何かできないのか、何をしたらいい、どうすれば……
[改訂版]悪役令嬢に魅かれた男 山宗猫史 @kiratokuro
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