王家に御三家、藤原氏、日野家的な家を設定しよう

 「足利将軍と御三家~吉良・石橋・渋川氏(谷口雄太)」を読んだ。足利氏にも徳川御三家のような存在がいたことを紹介する本だが、足利御三家の成立は徳川御三家よりも複雑である。足利御三家が分かれたのは足利幕府が成立するよりも前なのだ。

 そもそも架空世界において家系図をつくることの消費カロリーは大きい。個人的にはプレートテクトニクスを考えるほうが気楽である。

 主人公をハーレムにするのに、他の王侯貴族が一夫多妻でつくった家系図に対応できなくて良いのだろうか?養子によって家を継ぐことを許容する社会だったら、設定はさらに複雑になる。下手をすると前に書いたダンバー数を超えてくる(https://kakuyomu.jp/works/16817330653414620208/episodes/16817330653628043413参照)。


 そこで、ごさんけ!である。

 とりあえず家系図の精度はおいといてトップの周りは御三家・御三卿的な存在で固めておく。家の名前も藤原氏的に南家・北家・東家・西家・中央家・不敗家でも良かろう。もちろん、細川吉兆家みたいに特徴的なネーミングができればカッチョいい(そもそも使用言語にもよるが)。

 御三家はトップの支えであると同時に、いざという時になりかわる存在だから、関係性によってはクーデターを起こしうる不安要因にもなる。史実のように大きな領土を与えない(足利御三家)または役職は与えない(徳川御三家)などの対応策は考えられるが、そのあたりの駆け引きや進歩もドラマになってくれるはずだ。


 藤原氏的な存在も良いアクセントになってくれる。

 日本だと大王・天皇に寄り添う最大の氏族として、物部・蘇我・中臣(藤原)・橘などがあったわけだが、両雄並び立たず。藤原氏などはライバルとなる他氏を排斥する性質がカッコウの雛鳥のように強く、詳しく描写しないなら一つの族を出して、ライバルは蹴落としたとしておけば本来は不思議ではない(ジャガイモ警察(仮想敵)のツッコミは無視するものとする)。

 あとは必要があれば分家の一条二条三条…で水増しもできる。ネーミングの法則性なしで拘ると個々に設定するのと変わらなくなってくるが。

 なお、氏と姓、名字の設定作り込みは気分で――幼名も。


 藤原氏が天皇家に娘を送りまくったようにトップの結婚相手になる一族を設定してもいい。たとえば足利将軍家に対して日野家(これも藤原氏である)は奥方を送りまくっている。将軍の母親の家――外戚として権力を握るパターンである。

 突厥などはトップの阿史那氏と結婚できる家を決めていたそうだ。血の高貴性を保ちつつ、血が濃くなりすぎないようにする工夫でもあったのかもしれない。

 まぁ、ここはお好みで。

 藤原氏的一族のライバルに設定するのも、婚族を主人公が略奪するも一興である。


 というわけで、王家・最大勢力の貴族・(結婚相手の貴族)の名前を設定しておけば、量産名の御三家・分家を整備して、それなりの形にはなると思います――うーん、普通の結論に至ったのではないか。和風ファンタジーやガワを洋風にした骨格和風のファンタジーは上記のことを踏まえて作ると良いんじゃないかって話ですわ。

 ちなみに足利御三家は関東公方の足利氏や陸奥・九州にもいたらしく、その法則を使えば〇〇地方××家でコピペ出来る。

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