ダンバー数を創作に利用するために思いついたこと

 覚えた言葉をすぐに使いたがるお子様なので、VTuber汽水あさりの方法論 第3話(https://kakuyomu.jp/works/16817330648377676421/episodes/16817330653614997673)においてダンバー数の話を出した。視聴者数・コラボ相手数・所属ライバー数などに絡めている。

 Wikipediaの説明によれば(https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%80%E3%83%B3%E3%83%90%E3%83%BC%E6%95%B0)「人間が円滑に安定して維持できる関係は150人程度である」というアイデアである。続きにこの人数は「100から250の間」とも書かれている。ちなみにこの知識を得たのは中公新書の「人類の起源」。



 この数字を絡めて創作の軍事的な描写に使えそうなことも考えておく。


 まず日本の戦国時代において、通常の規模をもった山城は300人程度で守る規模だったと城郭研究家が書いていたことを意識した(西股総生氏の著書だったと思う)。

 これはダンバー数に対して倍である。誤差を考えれば250人にギリギリ収まる人数だったかもしれない(そういえば1万石あたりの動員も250人で計算されることがある)。

 または主将と副将で半数ずつを引き受けて150人を合わせて300人だろうか。

 ちなみにWikipediaでは現代の中隊が200人でほぼダンバー数に当たるとしていた。どうも、上官や同級者とのコミュニケーションは一時棚に置いてもいいらしい?実際には小隊長が面倒をみるからだろうか。


 西洋の城郭には300人どころか150人よりもっと少ない人数で防衛した話がある(たとえばカーナーヴォン城は守備隊40人という)ので、せめて作品の中だけでも通る道理をまとめておく必要を感じる(ウェールズの反乱軍などは、中世ヨーロッパでは王権力レベルでしか造れない、攻城兵器を持っていなかったんだろう)。

 上杉謙信が手足のように自在に動かす軍の規模は8000人という怪しげな話もあったけど、残念ながら150の倍数にはならない。

 中世的軍隊内部の編成は150人以下を基本単位にして、そのブロックを組み合わせて全軍の形をつくる感じでやれば説得力があろう。


 そういえば皇国の守護者で新城直衛が「自分の力量だけで5万人を動かした過去の英雄」に感心するシーンがあったのも、ダンバー数を知っていると説得力が増す。

 実際には中国古代の兵法書時点で部隊に多重の階層構造をもたせて上位の隊長は下位の隊長数人を指揮すれば全体が動くように組織を整備している、理屈の上では。

 少なくとも直下の部隊長が150人以上いて、それを直接動かすような指揮・組織構造を常人がやるのは危険だと指摘できるのではないか。主人公がやらないようにしても良いし、愚かな敵にやらせて破滅させてもいい。



 ついでに作品の話にすると、登場するキャラクターは150人以下に収めたほうが良いはず(すぐ退場するキャラは除いて)。むしろ、150人も日常で接する他人並にしっかり作り込みができたら神だが、登場人物にとっての神であることを求められるのが創作だからな……。

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