第2話 性別

『苺オ・レ…………』

私がアクリルガッシュで紺色に色付けられた手で

掴んでいるのはピンクと白色の飲み物。


自動販売機で買ったのだがこの飲料は何だか自然ではない香料というのだろうか?

極めつけに果汁1%と表記されているぐらい風味がハッキリとしない。


果汁の割合が圧倒的に低い物でも

炭酸飲料等なら美味しいと思う物が多く感じる。


私の通う中学校はとても珍しく

校内の外に接する廊下に自動販売機が設置されており通りかかると自然に購入してしまう。


授業中や休憩時間に教室で飲んでいると

浮いて観えてしまうが

今は昼食時間なのでカラフルな外装を手に持つ。


昼食時間帯は放送委員が

学生から持っているCDや流してほしい曲を

募集していてその度流してもらえる。


最近はずっと同じボーカロイドと言うのだろう。

機械的な声調の曲が流れている。


そして歌っていないメロディーだけの曲が

流れてきた時は正直退屈になってしまう。

この様な曲は楽しめたらとても良いのだろうが、

楽しめる気にはなれない。


10月といういくらテンションのあがって

騒いでいる人達が多いにしても

決して夏とは言えないこの気温。


微妙な具合探りの秋の風。


緑の厚めのカーテンは動じないが

白いカーテンは『ザ・夏』といういう程度に

キラキラと輝いている。


そして私の視界は渦めき笑い狂っている。


受験に向けて偉大さに気付く生徒と

私立公立どちらでもそして行きたい所もない。

そんな両方が存在する時期。


『な、どこみてんだ。』

彼は問う。話しかけ方が分からないと言う様に。







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❏劣等科生の『イデア』 ネクラギ。 @at_neclagi

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