❏劣等科生の『イデア』

ネクラギ。

第1話 営業部〘PROLOGUE〙

君に『しろく』(白い)【真っ白】な

とても高級な一枚の和紙を渡すとする。


君はこの和紙に何を “かいてもいい” と

字を書く為の「シャープペンシル」と

絵を描くために「赤い油性ペン」を渡される。


すると君は高級な真っ白の和紙に

「赤い油性ペン」で躊躇もなく『花丸』を

ペン先走らせる様に軽やかに描いたとする。


それもまた芸術だ。


芸術とは何だ?


『爆発だ。』


爆発されたら困る


私の部屋だったら跡形もなくなってしまう


やはり爆発だ


いや、


普通に美術館とかどうなる?


あ、爆弾の絵とか描いてみるか!


爆弾っていわれてみればどんな形なんだろう……


黒か?いやダイナマイトのイメージは赤だ


結局のところ芸術とは何か分からない

芸術の『芸』の部分がより分からなくしている。


美術ならまだ理解できるはずだ。


作者の意図が分からないだけなのと

可能性がとても限りないのが爆発的らしいし

白は数百種類あると誰かが言っていた。


世には到底理解できない

《曖昧》な物も者も在る。


そんな《曖昧》を円周率を計算し続けるかの様に

彷徨い解き明かすふりをする者が居た。


貴方も曖昧な世界にいきたくないですか?

きっとそこは天国ではない世界

《やりなおし》を代わりにやってくれる勇者と


❏ idea_B 代表者▓▓▓▓ ▓▓

 お問い合わせ 080-〇〇〇-0563

……………………………………………︙…︙…︙


◑≫とても物騒な?

いや、物騒ではないか…………。


マンション一人暮らしのポストに

こんな広告がポストに入っていては気になる。


路地から大通りに出た瞬間目に付く所の

スーパーの特売チラシ等は見慣れているが

真っ黒な紙に「真っ白」がどうのこうのと

哲学的な事が書かれているのを見つけた。


代表者の名前には少し見覚えがあり

右下のQRコードが浮き出ているかの様に

不思議と主張して私には魅えた。


学生の頃から着ている紫のパーカーの袖が

アクセントとなっている

一枚絵の様な視界の隅に顔を出す

スマホを手に取りピントをあわせ読み込んだ。


あまり信用性のないサイトにアクセスを

しない方が良いと分かっていても

手を出してしまった。


敗北を味わった気分だった。


人間は社会でこうやって罠にかかるのだと

考えてしまった。


QRコードを読み込むと

この広告紙と同じく黒いページに跳ばされた。


【そして私は怖気付いてしまった】


このサイトのサービスに会員登録してあった。

登録した覚えが全くとして自分には無かった。


記されている紹介文を読んでいると『イデア』という言葉が面白い程に連呼されていた。


『いつしか高校受験の筆記試験で話題にされてたっけ?』


中学の時に髪のない肩幅の広い先生も

口にしていた記憶もあった。


そして気付いた。


(何故会員登録してあったのかを………)


先程飲んだレモン味の炭酸飲料が

そのままとして流れているような

味の有りそうな涙が溢れて来た。


初めて自分自身に反感をかった。


狂ったように狂った。









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