第3話 宮城県仙台市②

東京から約1時間半ほどの距離。

東北最大の都市であり、政令指定都市である。

杜の都”仙台”


新幹線から降り改札口を出る。

出口正面二階の入り口から出ると自分は愕然とした。

高層ビルが立ち並び、またそこに木や花等の自然が調和している。

そこはまさしく”杜の都”の名にふさわしかった。

「東北」というと大体の人は田舎を連想するはずだ。

勿論、数十キロ離れればその通りかもしれない。

だが、ここはそれを感じさせないほどに栄えている。

噂だと夜は木にイルミネーションが施され、街をより一層煌びやかにするそうだ。

っと気が付いたら、勝手に興奮していた。

時間は昼の12時を回っていた。

お腹も空いてきた頃合いだ。

そろそろ移動するとしよう。


仙台といえば何の料理を思い浮かべるだろうか。

「ずんだ、牛タン、笹かま」他にも色々あるだろうが、自分はこの三つを思い浮かべた。

 そして、昼ご飯に選んだ料理は牛タン料理だ。

何故、仙台といえば「牛タン」となるのかは少し疑問だが、名物なだけあって街中を歩けばそこら中に牛タン料理店がある。

腹が減った、とりあえず仙台に来たからには最低限牛タンだけは食って帰ろう。

そう思いその辺にあった店の暖簾をくぐった。


 暖簾をくぐると食堂というよりかは雰囲気は居酒屋に近い店内だった。

勿論店によって違うだろうが、自分の選んだ店はどちらかというと酒屋系だった。

入るや否や店員に案内され、カウンター席に座った。

メニュー表を見る。

真っ先に目に入ったのは、「大ジョッキレモンサワー‼」だった。

ん~ここだだの居酒屋じゃね?内心思った。

 しかし、隣人を見ると牛タンらしきお肉が乗っている定食を食べていた。

牛タンと共に米を口にかきこむ。

「おいしそっ」と少し声が漏れてしまった。

牛タン

そういえば食べたことがないかもしれない。

自分は料理やグルメ等まったくわからない。

焼肉食べ放題のタンを食べることはあるが、そのタンとは何が違うのだろうか。

心を躍らせる。

店員に牛タン定食を注文する。

「牛タン定食ですね!かしこまりました!」

元気がいい。

 そういえば、最近を思い返すと楽しい事なんてなかった気がする。

上司には理不尽にキレられ、同期や昔同級生だった奴は結婚。

勿論、結婚は良い事だし自分も祝福している。

しかし、心の奥は泣いているのだ。

どんどん皆は先に行く。

まるで、自分だけを置いていくように。

次第に、一緒に飲みに行かなくなってしまい。

友人と呼べる人も少なくなっていった。

そもそも友人だったのかすら危うい。

プライベートが充実しないとなんだか日々がつまらないものだな。

忘れていた。

そもそも自分にはプライベートなんてものは無かった。

いつも休日は家でネットサーフィンと動画視聴だ。

少し調子に乗った。

 しかし、今こうやって仙台に来ているが、私は最高に楽しい。

何故だろうか。

「失礼しまーす!牛タン定食でーす!」

考え事をしていたら牛タンがやってきた。

私は圧倒された。

おぼんの上には麦飯、汁物、とろろ、そして中央に牛タンがいた。

実際に目の当たりにすると威圧感が凄い。

特に牛タンの存在感が凄い。

こんなの美味しいに決まっている。

当たり前だ。

さて、食べるとしよう。

箸を揃えて、

「いただきます」

まずは、汁物から頂くとする。

透明なスープで、香りは何ともいえない不思議な香りだ。しかし、ネギが香りを引き立たせる。これは旨い。初めて食した。

次は麦飯だ。

普段は白米を食べているため、麦の米など食べたことが無かった。

普通の米と何が違うのか、お手並み拝見だ。

期待を胸に口に入れる。

!!

なんだ、この食感。白米ではありえない、プチプチ?とした食感。

そして麦の風味が感じる。

これも旨い。

箸が止まらない。

米を食べながら先ほどのスープと共に食べる。正直これでも満足だ。

一生食べられる気がする。

麦飯とはこんなに美味しい食べ物だったのか。

私は感動した。

忘れていたが、米の横にとろろもいる。

しかし、彼の出番はまだ先だ。

次は、メインディッシュ。牛タンだ。

正直、「牛タン定食」は東京でも食べられる。

しかし、私は本場で食べることに意味があると思っている。

今日は、君に会いに来たと言っても過言ではない。

さぁ、時は来た。

私は、君を食べる。

箸で牛タンを掴み、口に持っていく。

一瞬だが今日の出来事が走馬灯ように頭を駆け巡った。

ここまで長かったなぁ。


そして、私はついに食した。


あぁ....旨い。














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旅人 たかのすけ @Takanosuke_Asakusa

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