第2話 宮城県仙台市①

東京生まれの自分にとって新幹線から眺める景色は異様だった。

季節は冬。

テレビでは「東北地方歴史的大雪‼」などという放送も度々目にしているが、東京出身の自分からすれば縁の無い話だ。度々こちらでも降るが積もるほどでもない。

ふと、外を見ると少しずつだが雪が積もっている箇所が増えてきた。

長いトンネルに差し掛かった。外は勿論暗い。

電波は圏外...まではいかないがかなり微弱。数分だろうか、トンネルを抜けると。

そこには一面の銀世界が待っていた。

テレビでは見たことはあるがこうして実際に見ると、まるで異世界。

気が付くと自分は興奮の余韻に浸りながらただずっと、外を眺めていた。


何分経っただろうか。だんだん景色は雪が積もった田園風景から家やマンションに変わってきた。そして、マンションからビルに変わり新幹線のスピードが落ちてきた。

チャイムが鳴った。

「まもなく終点仙台」

なんだろうか、乗ってる時間は短いように感じた。

おそらく、自分が今まで見たことない景色に感動していたのだろう。

新幹線は停車。

荷物を整え、乗降口に向かう。

短い通路ではあるが、家族連れや出張の会社員、観光客と様々な人がいた。

全員これから何かしらの物語があるに違いない。

自分も一応観光客。ただ、他の客とは動機が少し違うかもしれない。

そしてドアの前に立った。

自分は今未知の領域に一歩踏み出そうとしている。




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