第3話レベル上げの仕組み
魔法の習得を初めて1か月がたった。魔法の勉強は大変で田舎の男爵領では魔法を使えるものが少なかった。父上も魔法より剣を使っているため、教えてもらえそうにないしなかなかに厳しい。王都の方に行けば使える者は増えるのだろうが5歳の身では心もとないし、好き好んで田舎に来たいものもいないだろう。
それに魔法を習い始めるのは基本的に10歳を超えてかららしい。あと5年も掛かるのだ。そういった状況から、父上にお願いして王都から魔法に関する本を取り寄せてもらう間とりあえず家にあった魔法に関する本を片っ端から読み始めた。
だいたい前世で見るような区分わけがされており、火、水、土、雷、光、闇となり適当に試してみたところモータルの身体は闇と水を得意としているのに気が付いた。
確かにビジュアルは黒髪黒目だったしなんとなくはわかっていたけど、予想外なのは意外に魔力は簡単に使い切れないことだ。
ゲームでは相手キャラが魔力切れになることが多かったようだが、案外そうでもないらしい。
そんな感じで魔法で遊ぶことが多かった。なにより重要なのは回復系魔法。俺は、光魔法があまり得意ではないため何度も使って慣れるしかないのだ。
「父上少し出かけてくるよ」
本を読み終わればすぐに街に赴き神殿に行き、怪我人に適当に掛けていく。
この町では、税を多く取るのにあまり還元されていないようなので寂れた神殿に対してレベルの高くない、光魔法師に頼りにくる。
「お!モータル様!今日も来られましたか」
「あぁ、少し試しに、じゃなくて手伝いにな!」
「いつもありがとうございます。本当に」
「いいよ別に、さぁ!並んでくれ!傷の浅い者たちは少し待て」
治安の悪いこの地域は多くの怪我人がでる。回復魔法の練習にはもってこいなのだ。
「しっかし今日の被検体、じゃなくて治療者は多いな。なにかあったのか?」
「それがなぜか王都からわざわざくるものが増えておりまして。おそらく王位継承の派閥争いもあるのでしょうね」
「へぇーそんなことが」
ほとんどの重傷者に回復を掛け終われば、残りの軽症者に範囲系の回復魔法をかけて終わる。これが睡眠の合図だ。
チラリと連れてきた護衛に目線をやり
「今日も頼む」
と口ずさむ。
すぐに寄ってきた護衛を確認できれば安心なので魔法を発動する。
「ヒールオール」
神殿を囲み全てのものを回復させる。子供ながらに魔力量が多い理由はおそらくここにあるのだ。
人の魔力量は成長とともに変わるがそれ以上に大幅なのは魔力を枯渇するまで使うことだ。基本的に使っていれば魔力量は増えるが枯渇するまで使うと身体に急激な負荷が掛かり成長にブーストがかかるのだ。
これには前世の知識が助力した。
「このキャラ魔法使いまくると成長が早いんだよな、育成楽になる」
と別のゲームでやっていたことを試したとところドンピシャだった。今思えばあの自宅警備員結構鬼畜なのではないだろうか。
ともあれこの体が15歳を過ぎればいつ死ぬかわからない今、確実にレベルを上げる必要があるのだ。
重い頭痛が来た後に全身麻酔をされたかのような感覚はこれで1か月は経験したのではないだろうか。
「あぅ」
眠い。
体が熱くなるのがわかる。拍動が激しくなり、脳に血液が送り込まれる速度があがる。
これが世界での成長なのだ。
ミステリー恋愛ゲームヒロイン王女様のモブ悪徳貴族に転生【隠しキャラ】。死にたくないから旅人に @valemna
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