いけないこと
私には、好きな人がいる。
10年来の親友で、ずっと私の憧れの人。
私より綺麗で、私よりも可愛い。
女の子。
ほかの友達への好きと、彼女への好きが違うと気づいた時、私は本当に動揺した。
女の子を好きになるなんて思ってもみなかった。
それと同時に、
とても怖くなった。
だってそうでしょ?彼女にとって私は親友なの。
性愛が向けられているなんて思ってもないはず。
困らせるだけだなんて、そう思ったら辛くなって。
気づいたら学校にも行かなくなった。
それを心配してか、彼女は家まで来てくれた。
「ねえ、その、なんで来なくなったの?」
「…関係ない事だよ」
「関係無くないよ!」
「無いよ。帰って」
「帰らない!私たち親友でしょ?!なんで話してくれないの?!」
慟哭のような叫びだった。そんな、苦しそうな声に。
心底、苛立った。
私は気づけば彼女を押し倒して
「んっ、ぅ」
「ん」
唇を、奪い去っていた。
深く、深く貪った。舌を絡めて、吸った。
「ん、ふっ、んん…!」
舌を引っ込められて、歯を閉じられた。
歯茎を舐めて、顎を触って、頬を抑える。
チロチロ、チロと舐め続けると、とろとろと瞳が蕩けていた。
そのまま口を開いたので、
蹂躙した。
10数年来、彼氏だっていた事はある。
その時に獲得したスキルで、口の中を支配した。
そうして、どれだけ繋がっていたか忘れるくらい蹂躙して
唇を離した。
「ねえ、分かったでしょ?私はあなたが好きなの。恋してるの。でも、気持ち悪いでしょ?だから離れたの。嫌われたくないから。分かったら帰って?」
「な、んで。決めつけるの!」
想定外の答えに、瞠目した。
「私だってあなたが好きだよ!ずうっと好きだった!貴方に彼氏ができた時胸が張り裂けるかと思った!でも、君にとって私は親友だから!!ずっと我慢した。ずっと、ずっと、ずっと!」
嫌いなんかじゃないの。
「あなたが好きなの!だから」
拒絶しないで
その言葉に、氷が溶かされるような、心が焼き尽くされるような。
ーーーーー衝動をもらった。
「私が好きなの?」
「うん」
「めんどくさい事言って困らせるかもよ?」
「知ってる」
「生理重いから機嫌最悪だよ?」
「知ってる。私もだよ」
「私も知ってるけど」
「ーーーー酷い嫉妬、するよ?」
「私もしてる」
「おそろい、だね」
「そうだね」
そうして、2人で笑って。
「「大好き」」
私たちは、この日親友じゃなくなった。
私たちは、この日から、いけない関係になった。
悪い事じゃないけど、話せなくて。
どうしようも無いくらい、青くて儚い。
戀をした。
依依恋恋、合縁機縁 @bear-glasses
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