第65話 新くん、お誕生日おめでとう

「新くんのお誕生日だ〜!わ〜!」


「紅羽、いつも元気だけど今日は段違いだね」


「当たり前じゃん!今日は新くんのお誕生日なんだから!」


 大学の時間が終わるまで、私の脳内は新くんで埋め尽くされていた。

 早く新くんと会いたい。

 早く新くんのことを祝ってあげたい。

 そして、17歳になった新くんと…

 とにかく、私の脳内は新くんで埋め尽くされていた。


『新くん、お誕生日おめでとう!今日大学終わったら、すぐに新くんの学校に迎えに行くからね!』


『ありがとうございます紅羽先輩!はい!待ってますね!』


 このメールは、今日…12月30日0時0分になった瞬間に新くんに送ったメール。

 新くんは相変わらずメールだけでもこんなに可愛さが伝わってくる。

 そんなことを考え続けて数時間…待ちに待った今日の大学全講義終了時間になった。


「紅羽〜、今年も一年ありがとね〜」


「うん、こちらこそ!また来年もよろしくね!」


 私は友達複数人とそのやり取りをしてから、急いで新くんの学校に向かう。

 新くん、新くん…!

 私は新くんのことだけを考えながら、新くんの高校に到着した。

 すると…


「あ、紅羽先輩!」


「新くん!」


 私は校門前で私に手を振ってくれている新くんのところに駆け寄った。

 そして第一声はもちろん。


「お誕生日おめでとう〜!」


「ありがとうございます!」


 新くんは嬉しそうな顔をしている、そんな可愛い顔こんな人目のある校門でしたら他の女の子が新くんのこと気にかけちゃうかもしれないから嫌だけど、新くんの顔を見ていたらそんな考えも無くなっていく。

 …本当に、新くんと居ると、私は幸せなことだけを見ることができるよ、新くん。


「今日は俺の家に来てください、俺なりに飾り付けしてみました!」


「えー!新くんの飾り付け!?見たい見たい〜!」


 それから雑談をしながら新くんの家に足を進めて、新くんの家に着くとそのまま新くんの部屋に案内してもらった。

 そして…


「わ〜!本当だ!飾り付けしてある!すごいね!」


「あ、ありがとうございます!」


 風船とかキラキラの紐とかがいっぱいあって、新くんが精一杯飾り付けを頑張ったのが目に見えてわかった。


「またケーキ用意してるので、良かったら────」


「新くん」


「は、はい?どうかしましたか?」


 新くんは私が新くんの話を遮ったことに少し驚いているみたい。

 新くんは学校の鞄を床に置くと、私の方を向いた。

 …でも、私はそんな新くんのことをベッドに連れて行って、二人で一緒にベッドに座った。


「…紅羽、先輩?」


「ケーキ…は、もちろん後で一緒に食べたいけど、その前に…十七歳になった新くんと、どうしてもしたいことがあるの」


「したいこと…?」


 私は鈍い新くんのネクタイを緩めながら言う。


「…ベッドで、するようなこと」


「え…!?」


 私のその発言に、新くんはただただ驚いたみたいだった。

 …私の心臓も、少しずつ鼓動を早めていた。

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