地味顔と見せぬ金髪ヒヤシンス

 元々華やかな顔立ちの人は髪を染めない。大体において。殊に金髪なんかにするとバタ臭いし、お水系臭いので良識ある華やかな顔の人は黒髪を維持するだろう。

 地顔が地味だからこそ、ちょっとここで一丁染めてみるかベービーなんて出来心を起こすのである。金髪なんかにしちゃうのである。

 この間某ターミナル駅でまさにそういう人を見た。たぶん女子高生である。チビ、失礼、小柄でこれといって特筆すべきことのない容貌だったが、なかなかの金髪であった。これは相当な確率で自分の顔の地味さ加減をもて余した末の金髪だろうと、一瞥して私は推察した。

 もちろん何の根拠もない。別に顔の地味さを紛らす目的だけで人は金髪にしはしないだろう。あの女子高生だって彼氏に言われて染めたのかもしれないし、ひょっとしたら地毛が金髪なのかもしれない。

 私は髪を染めたことはない。そんなことに金を使う気には逆立ちしたってなれない。

 ヒヤシンスは何となく出てきた季語で、座りがいいのでそのままにした。ヒヤシンスという花は、色は様々だがあんまり華のある花という感じはしない。長く伸びた形はソーセージみたいで興ざめだ。そう考えるとそれなりに相性のいい取り合わせなのかもしれない。

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