ここにいる全員子どもいない春
私の職場には私も含め8人人間がいるが、うち子どもがいるのは3人である。残る5人は夫婦二人や独身で、子どもはいない。私もその一人だ。休日出勤の代休が重なると、平日に不在の人が二人以上発生する日もあり、そうすると掲出句のような状況になる。それをそのまま読んだ一句だ。
職場だけでなく、例えば電車やエレベーターのような限定された空間の中で、ここにいる人のうち子どもがいる人といない人の割合はどれくらいだろうか、と私はよく気になるのだ。
昔は「ここにいる全員子どもいる」のが当然だったのかもしれないが、今では多くの職場で掲出句のようなことは珍しくないのではないか。そして良くも悪くもこういう状況に対する異議申し立てが見られない社会になってきた。私が見る範囲では。
ところである人が独身であることが気になる場合とならない場合とがある。その差というのは恐らく愛嬌の有無ではなかろうか。どこかしら憎めない人というのはひとり者でもなんだかんだ楽しんでいそうな感じがして大して気にならないが、愛嬌からは程遠く無愛想で必要以上に喋らないような人は、休日に家で一人で何をしているのだろうか、と妙に気になるのである。
少子化の原因が那辺に存在するのかは諸説あるところだが、私はもう人間の存在が飽和状態に達したからだと思う。いま現在世界の人口は70億人だそうだが、一番最初のホモサピエンスから累計するとどれだけの数にのぼることか。これだけどうしようもない数の人間が地球上に姿を表し、幸福にせよ不幸にせよそれぞれの生涯を送ったのだ。もう人間など十分ではないか。
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