廃村
トリッピィ
第一話「勝手に」
~この物語は完全なるフィクションです。~
今から約100年前、あるトンネルが作られた。
そのトンネルは都会から田舎への手段として重宝されていた。
あの事件が起こる前までは。
あの事件が起きたのは、トンネルが作られてから60年後
普通の親子がそのトンネルを歩いて通っていた、その親子はとても貧乏で都会に引っ越し、そこで働いてお金を稼ごうと言う理由でこのトンネルを通っていたらしい。
そんなその親子の前に現れたのがこれからの希望ではなく、殺人鬼であった。
その殺人鬼は日本でも悪名高い殺人鬼で指名手配をされ、最も危険視されていたそうだ。
トンネルの張り紙にもその殺人鬼の顔写真が貼ってあった。
その親子は殺人鬼に襲われ、体をバラバラにされ、食料として食われたらしい。
そして親子はなんとも無惨な姿で発見された…と。
それは猟奇殺人事件として片付けられ、殺人鬼は捕まった。
それで終わりの「はず」だった___
そのトンネルを通ったある人が異形の怪物を見たという。
俺たちはその異形の怪物をこの目で確かめるためにトンネルへ向かった。
「ここが〇〇○トンネルか……」
「あまりにも不気味だな。」
友人のBはそう話す。
同感だ、今すぐにでも引き返したい……そう思った。
何か近づいてはいけない気がする。
しかしそう思いながらもBと一緒にトンネルへ入った。
トンネルの中は雪の中のように冷たく、水滴が滴っていた。
「やっぱり、帰らない?」
「いや……うん。俺もその方がいい気がしてきた。」
Bも賛成してくれたようだ。
「ア……だけどまだ行ってみたい。」
口が勝手に動く。
「エ……そうなの?」
違う違う違う…口が勝手に……お願いだ。動け!
「うん」
自分の意思とは違う返答をした。
自分の体は思うように動かず、まるで「ナニカ」に操られているようだった。
そうしてトンネルのどんどん、どんどん、どんどん奥深くに行っていく。
もうさっきまで見えていたトンネルの前の道が見えない。
真っ暗だ。
「ライターつけとくわ」
Bがライターをつけてくれた。
少し周りが見やすくなった。
ついにトンネルを抜ける……よう……だ?
Bも不思議に感じたのか、
「外は見えてるのに、なんで出れないんだ?」
何かが背筋を伝う。
無数の何かが足を伝い、自分を囲んでいるように。
直感的に感じた。
後ろ、前、右、左、そこに異形のモノがいると。
ようやく自分の意思で動くようになった。
これはきっと彼らにとっての「役目」を果たしたからなのだろう。
Bと自分は一斉に外に走り出す。
あいつらを視認したことをバレていてはいけない、あいつらが見えたとわかったのならば、あいつらは今すぐにでも俺たちを殺しに来るだろう。
怖い……怖い怖い怖い怖い怖い怖い
泣きながら走った。
あいつらから見るととても滑稽な姿であっただろう。
それでも鼻水を出そうが、血が出ようが、一心不乱に走り抜けた。
そうしてついにトンネルから出たのだ!
安堵に満たされたのも束の間、
今の時代にはないようなボロい村が目に入る。
廃村のようだった。
家の屋根は突き抜け、壁は穴が空いて…ん?
目に入ったのはまだ新しい「死体」
内臓は飛び出し、眼球はえぐられていた。
うわあああああ!!!!!!
なぜ気づかなかったのだろう。
今叫んだらあのようにした生物に襲われてしまう……と。
トンネルに戻ろうとした。しかしあいつらがいる。
村には殺人動物。
八方塞がりだ。
そしてまた新しい疑問が浮かんだ。
Bは…どこだ?
俺は恐怖に包まれた。
あの新しい「死体」、それがもしかしたら B なのかもしれない。
Bはもしかしたら自分より先にトンネルから出て、村を探索していたのかもしれない。
それなら何もかも説明が付く。
俺はとても広い村に向かった。
どちらにしろ、ダメなのだから。
俺は足を踏み込み、決意した。
逃げ出す……と___。
廃村 トリッピィ @medamayakiyarou
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