第305話 ギルドで打ち合わせ

 夕方のギルドは何処もやっぱり混雑するよな…。ランティエンスもご多分に漏れず、で混雑していた。


 釣りを終え、お茶してからギルドに来たが、変な視線が無いいつものギルドだ。


 一応『看破』を使い見て回ったけど、流石に朝一で受付嬢とギルド員に“お仕置き”をしたからか、俺を避ける雰囲気はあっても、賄賂を受けているヤツはいなかった。

 

「シロー!さっき振りだな。今来たのか?」

「あ、カーク隊長。ええ、俺も今来た所で……ただちょっと混雑してたんで、様子を見てました」


 受付で声を書けて来たカーク隊長と話し、促されてその後を着いて行く。そして、顔パスでギルドの奥へと進んで行った。


「そうか、なら向こうからヒッルリウの所へ行こう。それであの後、中央噴水広場ではどうだった?盛況になったろう?」

「はい!!一般のお客さんも多かったんですか、目障りな所でやってたせいか、狙ってた奴等も次々掛かって楽しかったです!」


 カーク隊長も用心の為だろう。今回は、衛兵を2人伴ってギルドに来ている。もちろん2人共“白”だ。


 あれ?そう言えば、いつも直に出て来るバルクナイダンジョン品狂いさんがいなかったな…。


 そして、カーク隊長も同じく、ギルド長室のドアをノックをすると、返事を待たずに即座に開けて中へ入って行った。


「おっ、来たな!カーク……と、シローも一緒だったのか?」

「さっき、下でお会いしたんです。……バルクナイダンジョン品狂いさんやロレンドさん達は何処かへ行ってるんですか?」

「ああ、ちょっと別に動いて貰ってんだ。シロー、済まないが、先にあの記録をカークにも見せてやってくれ」


 まあ、バルクナイダンジョン品狂いさんが居たら、スマホを出した時点でうるさくなるのは必至だろうし、丁度良かったかも。


 そこで、予定通りカーク隊長には今まで記録した動画を見てもらった。自分が嵌められた証拠となる動画を見た時は、終わったあとで深いため息を付いていた。お付の衛兵ズも、怒り露わの顔に変わっている。


「はぁ……なるほどね。さっき、ランゾフのヤツをぎっちり絞って、隊長室に飾ってあったナイフを盗んで、ジケイナに渡した事を吐かせた。賄賂は、その時に受け取ったそうだ。だが、この記録が無ければ、俺はきっとあのまま有罪にされていただろうな」

「そうだろうなぁ…。ジケイナのジジイにしてみれば、シローと言う常識からズレて、どう動くか読み難い不規則な要素が介入して来た事が、全ての誤算に繋がっているはずだ。王都にいた時から根回しし、ゼルをばら撒いて、綿密に立てられたであろう計画が、ことごとく水泡に帰する結果になっているんだ。人目もはばからず、シローを止めようと躍起になって当然だよ」

「常識なんて、人や場所や時代でコロコロ変わる天気みたいなもんじゃないですか?!俺は関係無いですよ?それに今回の場合、不確定要素はこのダンジョン品であって、俺ではないです!……よね?!」


 クソギルド長め……俺のどこに常識とズレがあるって言うんだよ?!イレギュラーはスマホの存在くらいだろが!……まあ、多少お仕置きが過ぎたかもしれないけど、その程度だろ?誤差の範囲だ!


 おい!だから、何で俺の肩をポンポンとたたくんだよ?!カーク隊長もそんな目で見んのは可笑しいだろ?!

 

「シローの常識はさておき、明日は朝一で御領主様の所へ行こう。だいぶご心配を掛けてるだろうからな」

「そうだな。一応、先触れは出しておいたが…。癇癪を起こして、早まった事をしていないと良いんだが………」

「いや、無理だろ?絶対に何かやってると思うぞ?でもその方が、企んでるヤツ等には牽制になって丁度いいだろ。それに、領主館勤めの役人共も、全員があいつの性格を正しく知ってる訳じゃない。……いきなり怒り狂った女の相手なんか、早々したいと思うヤツはいないと思うな……うん、俺も嫌だね。カークに任せるよ!!」

「……ヒッルリウ、勝手を言うなよ!アレは収めるのが大変なんだそ?!」

「知ってる〜〜!でも、それはこれからもカークの役目なんだから、頑張れよな!」


 あのちょっと頼り無さげな領主さんの話だよな?キレたらヤバい女だったのか?……怖いな〜急に豹変されたら、ちょっとビビるかも…。


「あ、もちろん、シローにも来てもらうからな?」

「えっ?!嫌ですよ!2人で領主さんを落ち着かせてから呼んで下さい!」

「大丈夫だよ〜!この前行った時、危ないダンジョン品を見付けてもらったし、その上美味い物を色々と出してくれただろ?それでアイツはお前のことを気に入ったみたいだ。ゴローの事も“可愛いわ〜!”って言ってたから安心しろ!」

「その前に話していた内容を聞いてるのに、安心出来る訳が無いですよ!……あれ?何か、最近見た夢で恐ろしい体験をした気がして……まさか、あれは予知夢だったのか?!」


 恐ろしい女に、悟郎さんと一緒にビンタをされて、ふっ飛ばされた夢を見たんだよ……。あれは、今思い出しても震える……。


「大丈夫〜大丈夫!矢面にはカークが立つから!俺達は、後ろから着いて行って、頃合い見て声を掛けようぜ!」

「………お前…覚えてろよ!」


 無責任なギルド長が矢面に立てば良いのに!

 俺は何かあったら、カーク隊長の側に立つぞ!





◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆




更新遅れてすみません!

風邪をひいてダウンしてました……急に寒くなったので、皆様も隊長……じゃなくて体調悪化にご注意下さい(⁠・ั⁠ω⁠・ั⁠)


しかし、熱が出たらコロナの検査しろとか、会社に言われたけど、しょうが無いとは思いつつ、行って陰性って出ると損した気分が拭えんぞ!



  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る