第303話 カーク隊長の復帰



 衛兵隊舎に到着してみると、数人で固まって何やら話をしていた。……どれどれ…………あ〜、そこの固まりは全員アウトだな。


「これは…ヒッルリウギルド長。何か御用ですか?」

「ああ、ランゾフ。カークの無実がはっきりと分かったんでな。お前達にも見せてやろうと思ってよ。…シロー頼む」

「了解しましたー!」

「お前は……!!」


 ギルド長に声を掛けて来た、ランゾフと呼ばれた髭面のだらし無い衛兵が、俺を見て口を挟んだが、ギルド長に制されて止まった。その隙に、動画を初めから再生する。


 トラキオさんにお願いしてスマホを持って貰い、俺はお仕置きプレート作りをさせてもらうおう。沢山必要だからな〜ヤベー、鉄のプレート足りるか……?最悪、少額のヤツには木製プレートで、我慢してもらおう。


 固まって話していた特盛Aセット買収衛兵たちは、動画が進んで行くと、買収されていない本物の衛兵隊員から強烈に非難をする視線を浴び、嫌な汗を掻き出した。


「さあ、これでお前等が、衛兵隊長を誤認逮捕したと分かったかな?これでも拘束を解除しない様なら、今すぐ判決所に行って、お前らの誤認逮捕に対して、異義申し立てをして来るぞ?」

「それと、この記録は辺境で行われた『セダンガ裁判』でも、有効な証拠として認められている。その審判の時にもこんな風に……『さあ、これでお前等が、衛兵隊長を誤認逮捕したと分かったかな?』……今現在の記録を撮って、その場で有用であると、何時でも、何度でも示せるからな?『氷雪』!」


 特盛Aセット買収衛兵たちは、更に追加で脂汗をかいてフリーズしてる…。プレートも出来てるし、面倒だから拘束しよう。


 足元を固定され、焦ってジタバタしてるから、個別に親指手錠とお仕置きプレートを掛けて………はい、完成!


「………こうして見ると……そこのランゾフさん?が一番突出した高額配当を貰ってる」

「……ああ、それはきっとあのクソジジイに『次期衛兵隊長』はお前だとでも言われ、本人にもそう思わせる為だろ?あのクソジジイが何と言おうが、そんな権限はアイツに無いがな。それと、破落戸ごろつきに声を掛けて、お前を襲わせたのもランゾフだろう…。証言にあった、風貌とピッタリだしな」

「ああ!そう言えば………『着崩して隊服を来た…口髭のあるヤツだ!』…って、言ってましたね!」


 その際の動画を追加で再生。それを見て、青くなったランゾフは、ガクガクと震えだす。


「うわ〜〜!衛兵隊員が破落戸ごろつき雇って、人殺しをさせようとするなんて最低だ!実際に襲われたから、被害届出したら受理されるかな?」

「おお、いいな…やってみろ!確か、自ら出頭してるヤツが何人かは捕まったはずだし、証言もある事だ。どんな判決が出るか楽しみだな!」

「はい!!」


 ランゾフの『ま、待ってくれ!!』と言う言葉を無視してギルド長と話をしていると、隊舎の奥から他の隊員と共に、カーク隊長がやって来た。誰かがいち早く、隊長を助けに行ってくれたんだな。


「カーク!!良かった……お前に何かあったら、御領主様に殺される所だったよ!」

「大げさな事を言うな、ヒッルリウ。……さて、この為体ていたらくはなんだ?!それに………衛兵が買収だと?!」

「ああ、シローが『お仕置き』するって言うんでな。好きにやらせてみたら『看破』で、うちの受付とギルド員数名に同じプレートを付けて、ここに来るまでも何人かの衛兵隊員に付けておいたぞ」

「……そうか。それは手間を掛けたな。お前達の審議は、諸々の確認をしてからとなるが、証拠隠滅防止の為にも収容させてもらう」


 その言葉を受け、他の衛兵隊員に特盛Aセット買収衛兵たちは連行されて行った。聞いた所、カーク隊長は俺達がランティエンスを出発したあと、殺人の罪で拘束・収容されたそうだ。


 その時、率先して行動していたのがさっきの特盛Aセット買収衛兵たちらしい。どうせクソジジイジケイナから事前に、その指示が出ていたんだろうな〜。


「カーク、衛兵隊の整理が終わったら、お前にも見て貰いたい記録がある。大変だと思うが、落ち着いたら時間をくれないか?」

「ああ、もちろんだ。夕方にはギルドへ行くから、それまで待ってもらえるか?」

「分かった。シローもその予定で大丈夫か?」

「了解しましたー。では、俺は予定通り人が多い所で視聴会をしてます。夕方迄にはギルドへ行きますから。」


 人通りが多い場所を教えてもらい、設置許可も出た事だし、早速視聴会場を作って公開しないと!


 クソジジイジケイナのばら撒いた金と使った時間はどうなるかな〜?きっと逃げるヤツも出て来るだろうから、視聴会に来た関係者全員に、記念のお仕置きプレートを全プレ出来る様に材料の調達もしないと!


 ははは〜〜!たくさん集まってくれたら嬉しいな〜!


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