第302話 動画配信ライブ
「悟郎さん、ジャーキー食う?」
「ニャ(うん)!」
「キュッキュ(ぼくも)!」
「チビも?じゃあ……マカダミアとピスタチオどっちにする?」
「キゥッキュ(どっちも)!」
「はいはい……どうぞ〜」
歩きながら俺も食おう……何か焼き鳥食いたくなったな。ホロトリのモモ串にしよう。本当は“ねぎま”がいいんだけど、どっかに長ネギねぇかな…ポロ葱だとやっぱ“ねぎま”にはならねぇんだよな〜。
「おい……シロー。お前、もうちょっと緊張感が持てないのか?」
「??緊張する理由がないんですけど?」
「…………相当、お前のダンジョン品の事を見る為に、後を着いて来てるヤツが多いが…」
「まあ、見てもらうためにこうして流していますし、人が多ければ下手な事は出来ないでしょう?」
「ニャオニァッ(もうちょっと)!」
「はいよ〜どうぞ!」
チラッと少し振り返ると、かなりの人が珍しさもあってスマホの動画を見る為に着いて来てる。ライブで同接数が上がってる、動画配信みたいだな。
その中には、衛兵隊長が捕まった事についても話がされており“隊長が犯人じゃなかったのか?!”とか“あの爺さん最近よく見るけど、ヤバいやつだったんだな”など、市民の声が複数聞こえて来た。
「良い傾向ですね。一部の買収された権力者に反論させない為にも、大多数の市民に真実の認知度を上げてもらわないと。俺はカーク隊長が放免されたら、何処かにこのダンジョン品を固定して、より多くの市民に事実を知って貰う為に、動こうと思ってます」
「ジケイナが黙っているとは思えない。危険だぞ?」
「大丈夫ですよロレンドさん。このダンジョン品、所有者限定で、壊れませんから。設置したら、俺等は少し離れた場所で様子を見ています」
遠巻きにしている人の中に、
「…………この騒ぎだと、既にジケイナやヤツに買収されている衛兵達の耳にも入っているはずだ」
「そうでしょうね……。あ!ギルド長、領主さんは大丈夫ですよね?」
「……領主さんって……。はぁ……御領主様は大丈夫だよ。カークが捕まる前に、腹心の部下を手配して、御領主様の警護を総入れ替えしていた。事前に、あのダンジョン品の数々を見付けて貰って本当に助かったよ……。でなければ、カークの捕縛に合わせて、何かしらの事態があったと思えてならない」
俺の予想以上だと、領主さんは暗殺され、実はその犯人もカーク隊長だったとか……に1000点!
証人はいくらでも作れる環境だったしね〜?
そして、せっかく沢山の視聴者さんに動画を見て貰っているのに、水を差す様な声が、人垣をかき分けてやって来た。
「どけ!!……お前、市民を扇動して騒ぎを起こした罪で拘束する!大人しくついて来い!!」
「嫌だね!ジケイナに買収されたクズ衛兵の言う事なんか、聞く訳ねぇだろ?!」
足元を凍らせ背後に回り、まとめてロープで縛ったら『ジケイナ買収済 ◯◯ゼル』と、首に掲示する。ついでに、また邪魔されたくないから、後手で親指手錠をプレゼントしておこう。
「くっ!貴様、何をする!!衛兵隊に逆らうか?!」
「ええ〜〜?!さっきも言ったじゃねぇか!買収される様なクズに従う義務はねぇよ!」
「う、嘘を並べて逃げる気だろ!!」
「まさか〜〜!!今から衛兵隊舎に行くんだから、嘘かどうか、良かったらそのまま着いて来いよ!俺、『看破』が使えるから、ちゃーーんとお前等クズが誰に・いくら貰ったか分かるんだ〜!それを書いておいたから、衛兵隊舎に行って、審議してもらおうな?」
「「「!!!」」」
せっかく一緒に行こうと声を掛けたのに、足元がまだ凍結されてるかの様に、3人はその場を動かなかった。
しばらくすると、市民の冷たい視線に下を向きながら、何処かへ走って行く。その間も、首から下げたプレートがカチャカチャと音を立て、市民の目を引き注目を集めていた。
はは!!良いね〜〜!!自らジケイナに買収された衛兵ですよとアピールしてくれるなんて、
その後もう一度、違う
今後の事を動きをし易くする為にも、もう少しお代わりしたかったな……。まあ、しょうがないか。
それに、もう衛兵隊舎に到着しちまった。
カーク隊長の後釜には誰が出て来るのかな〜〜?
そいつにも、プレートセットをプレゼントするべく、用意しておこう!
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