第280話 クソ多めな衛兵隊
「そうか。チェンパータならオストレイエレスの手前にある街だ。」
「………あそこ迄なら護衛は受けられるな。」
「……いいんですか?」
「もちろんだ。それに、護衛依頼の経験の無い冒険者は、例え指名依頼であっても受注は出来ないギルドの決まりだ。一度は経験のある冒険者に付いて、学ばねばならないんだよ。そう言う意味でも丁度良かったと思ってる。」
そうだったのか……じゃあ、俺だけの受注は結局無理だったんだな。良かった…ロレンドさん達が一緒に引き受けてくれる場所で。
「………ただ、その前にギルド長には、例の証明手続きをして貰わなきゃならないな。」
「そうだな。明日でも可能なら済ませてしまおう。」
ああ〜〜〜メンドクセ。でもしょうが無いか。逃げ出したとか難癖付けられたら、もっと面倒臭い事になるだろうしな。
「じゃあ、夕飯は宿の食堂で食って、明日に備えよう。」
「はい!悟郎さん、チビ。今日は色々手伝ってくれてありがとうな!2人共、ヤバいくらいに素晴らしかった。もう、何時でも銀幕デビュー出来る!今日は…今日も沢山食ってくれ!」
「ニャッニャゥ(やったー)!」
「キュキュキュ!」
「………いったい何をしたんだ?後で聞かせてくれ。」
その日の夕食の席で、悟郎さんとチビの名演振りを2人に話すと若干引かれた。
『従魔と言えど、魔物がそこまでの事が出来るのか?』
『………少なくとも、俺達には不可能だ。魔法でも勝てる自信が無いのに、更に差を見せ付けられた気分だ……。』
そんな所で勝ってもどうなんだ?そもそも、競う場所を間違えないで欲しい!俺は、ホストっぽい2人は見たくねぇぞ!!
◆◆◆◆◆◆◆◆
「ここに冒険者シローはいるか?!」
朝飯食って、さあギルドに行こうかとお茶を飲み干したら、険しい顔をした衛兵達が入って来た。
朝っぱらからうるせぇ。
「あ〜〜はいはい。俺がシローですが何か?」
「お前を、ジケイナ商会、護衛エスモーケン殿に重傷を負わせた罪で拘束する!」
「ああ、あれ?向こうから斬り付けて来たんだから、正当な防御行動ですよ。」
「何をふざせた事を!ジケイナ様から商談中に護衛を一方的に斬り付けられたと訴えが出ている!」
は〜〜〜。長い物には巻かれる主義の衛兵なのか、賄賂を頂いているのか………なるほど、マジ面倒。
「え〜〜〜?!それじゃあ俺も訴えよ!ジケイナの耄碌クソジジイに護衛をけしかけられて、斬られそうになったって!!」
「貴様、言うに事欠いて………………はぁ?!」
「お集まりのみなさ〜〜ん!ご覧下さい!ティエーエム商会にいた、こんな顔のジケイナって言うクソジジイには気を付けた方が良いですよ〜!あ!王都に行かれた時も要注意です!!とても気軽に『手伝い』と称して、護衛を使って人を簡単に斬り付けて来る様なクソジジイです!!………因みに、何かあったら俺は判決所でもこれを公開するからな?その前に今日にでも冒険者ギルドのギルド長の予定次第で、衛兵隊の詰所に行って同じ様に、このダンジョン品の記録を見て貰う。……それで?ここに来たお前等衛兵は、誰の指示で俺を捕まえようとしてるのかな?一番声高に張り切ってたラキダンさん、どうぞお答え下さい!」
「な、何を……俺は……。」
「どうした?早く答えろよ!!」
口吃るラキダンに周りの目が集まる。あ〜あ〜ランティエンスの衛兵はクズ塗れか?
デカい街はそれなりに不正が、蔓延ってるだろうけど、ちょっと多過ぎねぇ?!
「ラキダン、お前は後ろに下がれ!冒険者シロー。すまないが、このまま衛兵隊の詰所に同行しては貰えないか?今日は隊長がいる日だから、その記録を見てもらいたい。」
「同行ね〜…。その隊長とやらは大丈夫なのか?そこのラキダンや、昨日子供を攫ったヤツみたいなクズ衛兵がランティエンスには紛れているから、俺もうここの衛兵は信用してねぇんだよ。だからさあ、さっき言った様に、行くならギルド長に同行して貰う。」
「……分かった。なら、このままギルドへ向かってくれ。それに我々も付いて行く。」
ロレンドさんとトラキオさん、それとチビにはロシェル達の護衛をお願いし、悟郎さんと一緒に衛兵隊に同行した。
あ〜〜俺のヘイトが溜まって行く!今回は、辺境から売られた子供達の事も聞いて、その上、ロシェルの件もあったから、ここに来て激増だ。
これは、昨夜ステータスを確認して、新しく覚えた魔法を早速使う事になりそうだな。
名前 九条 士郎
性別 男
種族 人族(新種)
レベル 97
属性 闇
状態 怒り(中)
体力 288
耐久 316
力 288
魔力 312
知力 288
瞬発力 288
運 131
特技
魔法
索敵の術(特位2)
清浄の術(特位3)
点火の術(2段)
虚偽の術(6級)
操風の術(特位1)
分解の術(4級)
解錠の術(8級)
回復の術(特位1)
護身の術(4段)
健脚の術(8段)
解毒の術(7段)
解体の術(9段)
跳躍の術(6段)
操水の術(8段)
暗視の術
操土の術(5級)
製錬の術(4級)
濃縮の術(6段)
抽出の術(7段)
氷雪の術(5級)
灯光の術
撹拌の術(7級)
圧縮の術(6級)
看破の術(9級)
探索の術
隠密の術
従魔 デザートキャット(悟郎)、ツリードロワ(チビ)、ミーガンダ(イア、オルガ、マシュー)
『看破』、『探索』、『隠密』の3種の魔法が新たに増えた。
『看破』は、
『探索』は、捜し物に単純に役立ちそう。これもダンジョンや依頼で採取物や魔物を探したりするのに役立てば…と思ってる。きっと、『索敵』と同じで使って段位を上げれば、『探索』の範囲や精度が上がりそうだし、ガンガン使って行くぜ!
『隠密』……これもう、悪巧みしか思い付かなかった。いざとなったら使えって事か?
俺の後を付いて来る衛兵達。あ、1人の時ならストーカーを巻くのに『隠密』が使えるな。
今の状況も、何だか俺が衛兵を引き連れて歩いてる様に見えて、嫌だから『隠密』で俺の気配を消してみよう。
「……?!おい!何処に……アイツは何処に行ったんだ?!」
「確かに……今迄目の前にいました!……なのに…」
ふむ……育つ前でも中々の効果。ま、行く先は知ってるんだから大丈夫だろ。
辺りを探して右往左往している衛兵を置いて、そのまま悟郎さんとギルドに向かった。
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