第261話 怪しい指名依頼
ポタンリーナ商会に入ると、相変わらず商談する人や品物を見る一般客で賑わっていた。
お茶っ葉はどこかな〜?お茶の種類なんて、名前しか分かんねぇし、ましてや良し悪しはもっと分からん。試飲させて貰えるなら、好みで買えるから楽なんだけど。
「トラキオさん、どれがオススメですか?俺はご存知の通り
「………毒入りってお前…。」
「ちゃんと解毒してから飲みましたよ?だから、実質ただのお茶のです。」
ファーストフラッシュが春摘で、セカンドが夏だろ?そんで秋がオータムナル。それくらいは知ってんだよ。飲んだことはねぇけど。
と言うか、年がら年中夏っぽいランティエンスは、常にセカンドフラッシュか?
「………ランティエンスなら、この茶葉が1番一般的な物だな。それと……俺はこの茶葉を買って宿で試したい。」
「なら、俺が一般的な茶葉と……このお茶っ葉を試してみます。」
1つだけ、緑茶を感じさせる茶葉の色があったので選んだ。ポタンリーナさんがお茶好きだって事だから、ハズレ無しじゃないかとは思ってるし。
これなら、ランティエンスに滞在している間に、色々試すのもありだよな?俺は既に、薄めたスポドリを強制卒業した身だからさ。
しかし、俺の進化が止まらないぞ……。薄めたスポドリ→洞窟の水→
しかも茶器まで買って……。これ、もう人類名乗っていい気がして来た。
それぞれ茶葉を購入し、その日は宿の食堂で夕飯にする予定だったので、そのまま帰宅。
宿の食堂は持ち込みも可能だから、悟郎さんに食いたい物を聞いて注文しつつ、ちょいちょい収納からも料理を出して食って貰った。しかも安くて美味いから、俺、超・安・心!
「あ、ロレンドさん、トラキオさん、これ試してみて下さい。」
「ん?何だ、燻製か?」
「
「………美味い!燻製して水分が抜けた分、歯ごたえが増して美味いぞ!」
「おお、確かに美味いな!これ、いつまでも食ってしまうやつだ!」
とにかくデカイ電柱エリンギだったから、ある程度厚みを持たせて短冊状に切って燻製した。味はピリ甘辛の薄い醤油。
そうしたら、アワビ(偽)の燻製が出来上がった。
食った事無いけど、きっとコレが珍味ってやつだと思う。間違い無い。
更に1日目の夜と違い、緊張もストレスも無く夕食を終えられた!
明日はロレンドさん達の知ってる店に行くらしいが、量が多くてリーズナブルな店だって話だ。やっぱ、そうでなくちゃな!
そして清浄の魔法のみで、風呂ナシ2日目。すでに風呂に入りたくなって来たぞ。習慣って、良くも悪くも人に影響を及ぼす。
俺は聞いたからな?……同じく清浄の魔法を掛けたのに、2人が『今度はフロ付きの宿にするか……。』『………あの宿か…高いんだよな…。悩む。』って言ってたのを!
明日、依頼を受けて外に出たら、街へ戻る前にハウスでひとっ風呂入ろうと必ず言おう!
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
翌朝、ギルドで先ずは精算金の受け取り。
ロレンドさんの顔がニヨッて、笑ってたから良い値で買い取られたっぽい。
俺の在庫放出分も、辺境より値付けが良かった。こればかりは、新鮮さと珍しさが査定に響いて来るからしょうが無いよな。
そして、今日の依頼を選びに掲示板の方へと向かう。選ぶ依頼は決めている様で、それがあるかの確認だとトラキオさんは言っていた。
ゴローが気に入る肉だと思うぞ?って言われたから、討伐系の依頼だろう。
……念の為に確認したいんだけど、虫系じゃないよね?ね?!
「あったな。シロー今日はこの依頼を受けるぞ。」
「……なんですか?『オオトゲアゴン』って…。」
「…………ドドモラゴン小型にした魔物だ。尻尾にトゲがあって、それで攻撃して来る。動きがとても素早い。」
「またトカゲ……。」
「砂漠では貴重な、食肉可能な魔物だぞ。」
「ニャゥニャニャッ(探すから任せて)!」
「悟郎さん……今回は依頼として受けるから、討伐したら5匹はギルドに納めるからね?ちゃんと、それは承知しておいてよ?」
「…………ニャッ(わかった)……。」
めっちゃ不服そうだ。気に入るかもしれないってだけで、まだ分からないのに、凄い数を討伐しそうな予感がする…。
他には、ついでに受けられそうな依頼も無かったんで、そのまま『オオトゲアゴン』の納品依頼のみを受ける事にし、ロレンドさんがカウンターへ行った。
「この依頼を受ける。手続を頼む。」
「はい。あ、ロレンドさんですね?只今、指名依頼が入っております。」
「……指名依頼?誰からだ?」
「ティエーエム商会からです。こちらをお受けになった方が良いんじゃないですか?」
「…結構だ。内容の
「……お受けならないと、不利益を
やだ〜〜〜!!やっぱりギルドにも紛れてんじゃねぇか!クソ商会の回し者がよ!本当クソうぜぇ!
「うわ〜〜ギルドの受付が、指名依頼を受けろって強迫かよ?!受けないと、どんな不利益を
「な!強迫などしてません!」
「そう?てっきりギルドの受付以外の仕事も請け負ってる、何処ぞのクソ商会のお身内かと思ったじゃねぇか。」
「失礼な!そんな事していません!言い掛かりはよしてください!」
こうして無駄な時間を取られるんだよ。んで、受付の後ろには、騒ぎを聞き付けた偉そうなヤツも近寄って来てるしよ……。
「何かあったのか?」
「あ!バルクナイさん!この人が私に言い掛かりを言って来られて困ってしまって…。」
「はは!指名依頼を受けろって強迫されれば、誰だって抗議するだろが?!惚けた事を言うなよクソ女!」
「言ってません!!」
「は?だからテメェは言ってるぞ?……『お受けならないと、不利益を
「シローの言った通りだ。全て断ると伝えたのに、先程の対応をされた。困ってるのはこちらの方だ。」
クソ受付は、そんな記録を出されるとは思わず真っ青。バルクナイさんと呼ばれたギルド職員は、スマホに釘付け。仕事をしろ!!
「…………受付職員の適正な処分は、そちらで頼む。俺達は、この依頼を受ける手続をしたいだけだ。」
「!!す、済まない。珍しダンジョン品だったもので…。オオトゲアゴン5匹の納品だな……受付した。それと、昨日は辺境の魔物の納品をありがとう。お陰ですぐに完売した。」
「それは良かったです。先程の商会に売らないなら、今後も出せる物は納品しますよ。」
「そうか……分かった。今回は、受付職員が迷惑を掛けて済まなかった。今後もよろしく頼むよ。」
「…………こちらこそ、よろしく頼む。」
ギルド長とか、上に紛れて無いならどうとでもなるって、トラキオさんが言ってた通りだな。
そのままギルドを出て、今までとは違う外門の方へと向う。……あれ?こっちって、大砂漠方面じゃありませんか??
「やっぱり居たか。」
「…………それはそうだろう。ただ、あれだけ騒げば次は無いだろうな。」
「あの…あの……こっちで合ってます?大砂漠に出ちゃいますよ?」
「合ってるぞ?オオトゲアゴンは、大砂漠方面にいる魔物だからな。」
「…………サンドワームが出る場所ほど遠くでは無いから安心しろ。その代わりオアシスは全く無いし、今迄の砂漠以上に暑いから、チビはシローの側を離れるなよ?」
「キュ!」
ヤツは出ないエリアなんだな?!なら致し方無い。
それにこっち側には、デザートキャットもいるんだよな。悟郎さんがハッスルしてしまいそうな……テンション爆アゲされたらどうしよう……。
可愛い
良かったら、その時はお嫁さんも一緒に従魔になって欲しい。
それなら、3匹までは受け入れようと思う。でも…悟郎さんモテそうだ……。
毛艶も良いし、強いし。悟郎さんのハーレムが出来たらどうしよう…。
ああ!!せっかく調子良かったのに、胃部の不快感がまた!!……回復!!
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