第257話 待ち伏せ
これは罠だろうなぁ。外にもスタンバってるヤツがいるのかね?聞きたいな〜。とりあえずはロレンドさんに任すけどよ。
先に皆に護身を掛けて…。
「(……悟郎さん、手伝いしてくれる?)」
「(ニャッ(わかった)。)」
で、ロレンドさんの聞き取りでは、先導していた冒険者に置いてかれて負傷し、立ち往生していたと。
ふ〜〜ん。やっぱり言い訳に使い回されるくらいには、メジャーな事で本当にあったんだろうけどな…。
「俺はテオっていいます!お願いします!街まで俺達の同行を許して下さい!」
「……こちらの指示には従ってもらう。それで良ければ許可しよう。」
「ありがとうございます!!」
そのまま、ロレンドさんが先導し、4人に後ろを歩かせ、左側にトラキオさん、俺はヤツ等の背後に付いた。
しばらく進むと、その内の一人の女がチラチラと振り返っては、ピヨ達の入れ物を見て来た。
「あ、あの…。助けてくれてありがとうございます!その鞄は何が入ってるんですか?」
「……依頼品のママルマダケだよ。」
「わあ!私見た事無いんです!見せて下さい!」
「………。」
そのまま手を伸ばして来た女の手を払い、距離を取った。
「次は、落とすよ?それとも、今すぐ落とそうか?」
「…え?何を……。」
ゼスチャーで、手首をチョンパだよ!クソ女が!
さて鎌鼬展開。あ、コイツ等を囲う様に内向きにしないとな。
「なっ!ちょっと見せてって言っただけなのに!酷い!」
「ん〜?酷いだ?何で、どこの誰とも知れねぇヤツに見せなきゃなんねぇんだよ?バカかテメェは?」
俺がそう言ったのが合図だったかの様に、その4人は一斉に斬り掛かって来た。
男がそれぞれロレンドさんとトラキオさんに、女は2人がかりで俺に斬り掛かって来る。
「……手は要らないんだな?」
さっき、俺達の前には操風の術でクソワシに使ったのと同じ、突っ込んで来たヤツを刻む魔法を内側に向け展開しておいた。
2人にも事前にそうする事を伝えておき、ヤツ等が掛かったら、一步下がってくれと頼んでおいた。
そして、ヤツ等の持っていた剣やナイフが折れて飛び、一人の男はそこで動きを止めたお陰で手は何とかセーフ。
あとの3人は手のひらまで刻まれ、悲鳴を上げた。
「悟郎さん、ありがとう。もうちょい待ってな。」
「ニャ(うん)。」
「なあ、うるさいから、早く止血するなり、ポーションぶっ掛けるなりしろよ。」
「っく!!」
唯一、無事……じゃなかった。女の持っていたナイフが跳ねて、男の肩口に深々と刺さっていた。
ソイツが3人の手首を止血したあと、ポーションを掛け様子を見てる。
そして、もう一人の男に頼んでナイフを抜いてもらうと、自分にもポーションを掛けて一息付いた。
「で?お前等は誰に頼まれて、こんな所まで来たのかな?」
「………………。」
「……そうか。カリスィー君は話してくれねぇんだ。残念だな。」
「な!何で…!」
「何でだぁ?初対面のお前達が俺の事を知っている様に、こっちにも知る術があるだけだよ。それこそ、何で知られないと思ったんだか……なあ?」
話しそうにも無いな……。もう少し脅してから、ロレンドさん達の意見を聞くか。
「……そうだ。魔法って、こんな使い方も出来るんだぞ。知ってた?」
「「「「!!!」」」」
以前、俺に集って来たアホにも使った、頭部ピンポイント水責め。
水がドンドン溜まって行き、手で払っても水が増える速度の方が上だ。
「……ゴフッ!カ、カリスィー!何とかして!」
「………。」
「あれ?何もしないの?ラウンが他力本願に騒いでんのに。何とかしてやれよ〜。」
「何で私の…!」
「だから、さっき言っただろ?ちゃ〜んと、4人共知ってるよ。まあ、どうせヤツにしたら、お前等は当然、使い捨てだったんだろうしな。」
……しゃべんねぇか。プロ根性とかなのか?くだらねえなぁ…。
「シロー、多分無駄だろう。街まで連れて行くのも手間が掛かる。俺はここで方を付けようと思うが。」
「それなら、ダンジョンの出入口までは、このまま行きませんか?先にコイツ等を外に出します。」
「…………ロレンドそうしよう。コイツ等だけとは思えない。」
「そうだな……分かった。」
4人にはそのまま前を歩かせ、俺達は少し距離を取って背後を歩いた。
その途中、途中で、悟郎さんの
「……悟郎さんありがとう。」
「ニャォフ(当たり前)!」
憎々しげに睨んで来るが、お門違いも甚だしい。テメェ等が法に触れる仕事をしくじり、その結果が今の状況なんだからよ。
そして、出入口の手前にまた人の気配。不人気ダンジョンなのに10人もいるじゃん!大盛況だなおい!
そのまま4人組を先行して進ませると、碌に確認もせず次々と攻撃が放たれた。魔法と弓矢の雨あられ。
あ〜あ〜…やっぱり使い捨てか。それじゃこっちも魔法を撃たせてもらおう。2人に断り、悟郎さんと一緒に3倍返しで、魔法をお見舞いだ!
悟郎さんは礫乱射をこれでもか!ってくらいに連発し、俺は邪魔をしない様に、ウォーターレーザーで、タテタテヨコヨコ丸書いてちょんと放った。
ん〜〜〜敵反応無し。悟郎さんチェックもクリアが出た。
「ダンジョン内は終わりました。」
「ニャゥフ(獲った)!」
「……………出番が無かった…。」
「そう言うなよ、トラキオ。さすがにあれだけ遠距離攻撃が出来るヤツを揃えて来られたら、俺達だけじゃ骨が折れる。シロー、コイツ等はダンジョンに吸われて消えるから、このまま放置だ。」
ダンジョンで死ぬと、放置すればそのままダンジョンの一部として取り込まれる。
まあ、取り込まれると言っても、消え失せた後にどうなっているかは誰も詳しくは知らない。
先に襲って来た4人組も、既に事切れていた。
「…………さあ、出よう。どうやら、こっちが色々誤魔化そうと、画策した事も既にバレてる様だしな。逆に堂々と闊歩して目立ってみるか?」
「そこまで開き直るのも……。まあ、ダンジョンにはもう用が無い。一先ず出て、大丈夫そうだったら少し休憩をしよう。ゴローも腹が減る時間だろ?」
「ニャッフゥ(お腹すいた)!」
ダンジョン外は、一瞬で、ここが砂漠だって思い出させてくれる暑さだ。
ただ、他の気配は無かったんで、一安心だな。
俺から降りた悟郎さんは、早速ゴミムシを倒しに行った。
ピヨ達用にエアコンをしっかり掛け、ダンジョンから半分程街に戻った場所にハウスを出して、みんなで入った。
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