第237話 ログレスダンジョン 三層目② 新たな戦力

ピエーピパイナップルって、こんなに大きかったんですね!市場では食べ易い大きさにされてたから分かりませんでした!」

「本当にな。しかも、あんなに高い木の上に生ってるもんだから、採る為に登るのが大変だし、下ろすのも大変だしで、結構買い取りは高いんだ。……シローは売る気は…「ありません!」……だよな〜!」

「……………前にマンツァナ林檎を売ったって言ってたよな?なんであれは売ったんだ?」

マンツァナ林檎が辺境の寒い時期にあれば、長持ちもするし加工も出来る。街の人も食うだろうし、それに比較的硬い実なんで流通も可能です。あと、正直言うと本当にたくさん生ってたんです。俺は、売った以上のマンツァナ林檎をまだ持ってますから、良かったら1つどうぞ!」


 2人にマンツァナ林檎を1個ずつ渡して味見をしてもらう。ジュースにしたのはもう飲んでるけど、そのものを食べるのはまた違うからな!

 

「へーぇ。これがマンツァナ林檎か…。暑い時期に行っても採れないんだよな?」

「はい。その頃はまだ、青く未熟な状態で食べるのは……止めた方が良いでしょうね。酸っぱくて不味いと思います。」

「……………西の山の地図を見せて貰ったらが、確かに目的が無ければ、寒い時期にあそこまで足を運ぶ事は無いな。だが値段次第では、依頼の閑散期に冒険者の良い稼ぎになりそうだ。」


 そう!そして出来ればニーリアパン屋さんの所で林檎の菓子パンを作って欲しいんだ!

 煮た林檎が入ったパンなら、悟郎さんも絶対に好きだと思うから!


「西の山か………たくさんある緑地帯の全貌も、まだ全ては分かっていないと聞いたし、下手をすると未発見の緑地帯までありそうだもんな〜。とにかく広いんだよ、あそこは。だから余計に、依頼の無い冒険者の足が遠退く。」

「…………マウンテンモウの狩りなら俺達も行くけどな。それ以外となると、確かに行こうって気にはならない。」


 なるほど……やっぱりあそこは、未開と言う意味で、まだまだお宝美味いもんが眠っているんだな。

 暖かくなったら、ミルクを頂くついでに探索しよ!


「じゃあそろそろ行こうか!……実はこの先にな、シローの好まない例のヤツがいる。」

「!!か、覚悟はしてました…。大きさはどの程度で?」

「…………これくらいだ。」

「ヒッ!!!デカイ!!!」


 トラキオさんが手で示したサイズが、肩幅くらいの長さで、太さが約30cm。これは極力視界に入れない方が、俺の心の安寧の為には必至である。


 なのによぉ!!この先に居んだろ?!もう索敵にしこたま掛かっとるが?!


「あ〜〜〜……やだ。やっぱり無理。ロレンドさん、トラキオさん、少々お待ちを。」

「おお……。大丈夫か?」

「……実戦投入にはまだ早いと思ってたんですが…。しかし、この状況を鑑み、今がその時と判断しました。」

「……………何か小難しく言ってるが、要は代わりに戦わせようとしてるんだな?やっぱりアレはそんなに嫌いか…。」


 俺が手を下すまでも無いと言うだけだ!

 行け!ホロぴよ三連星!


「出番だ、君達!!俺の畑を食い荒らした分、しっかり働け!イア(♀)!オルガ(♀)!マシュー(♂)!」

「「「ピヨピヨピヨピヨピヨ!!!」」」


 素早くハウスからホロトリヒナ三兄妹を召喚!

 生まれてまだ一週間しか経っていないと言うのに、俺の丹精込めた畑の野菜を糧にスクスク育ち、既に豆柴サイズに奴等は成長を遂げた。

 …俺の畑の野菜をあれだけ食ったなら当たり前の結果だがな!


「おい……、ひな鳥にはまだ早いんじゃないか?」

「大丈夫です。万が一の時は悟郎さんがサポートします。それに、めちゃくちゃ食い意地が張ってるんで、食欲にまさる力なし!ほら、新鮮なタンパク質を心ゆくまで、たっぷり食べておいで!」

「「「ピヨピヨピヨピヨピヨ!!!」」」


 それに俺は知っている。宿敵ムシは鳥達大好物!

 さあ!跡形もなく全て食って来い!


「……………凄い勢いで突っ込んで行ったな。しかも、ホロトリの雛を初めて見たが結構大きい。」

「う〜〜〜ん。確かに雛でも3羽で掛かれば仕留められるか?でも、シュニールイモムシは糸を吐くし…。」

「……大丈夫です、やりました!一体撃破!よーし!味を覚えたな。そのまま続けーー!!」


 いいぞ〜!ホロぴよ三連星!!これぞ破竹!イケイケドンドン!!がんばえー!!





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