第229話 ログレス到着!

 スーレン村以降は、目ぼしい物も無かったんで、街道の外れをひた走って、飛んだ。

 日中は流石に馬車も人も街道を行き来するから、少し森に入ってログレスを目指す。


 そして、途中休憩時に微かに水音が聞こえてきた。

 貰った地図を見直してみると、森の奥に滝があり、それに続く川が流れていると記載されている。

 

 時刻は既に夕方4時。陽は半分沈んでいた。それに、今日ログレスに到着しなきゃいけない訳でもない。………よし!

 

「悟郎さ〜ん、チビ〜。この近くに川があるから、今晩はそこで一泊するよ!」

「ニャッ(わかった)!」

「キュ!」


 川まで最短を突き進む。途中、ボアがいたけど……アイツはいいや。ブタ肉なら欲しいけど、良く考えたら異世界の豚肉ってオークが定番だったなと。

 人型か……。今の所、ゴブリンとカワギョジンしか人型には遭遇していない。

 デカくてもいいから、四足歩行のブタがいいな。そしたら、豚バラ白菜ミルフィーユを作るんだが…。


 10分進んだ辺りで川音が徐々に大きくなり、木立が開けて川の様子が見えて来た。


「おお!雄大!それに、思ったより川幅が広いな。」


 以前、魚取りをした川よりも水量が豊富で、水深もある。ボートでもあれば川下りを楽しめそうだ。

 まあ、今日はもう暗いからさっさとハウスを設置して明日に備えようか!



◇◇◇◇◇



「ニャアニャウ(おはよう)!!ニャッフゥ(お腹すいた)!!」

「おはよ〜〜〜。悟郎さん朝から元気だね…。」

「ニャ(うん)!!」

「もうすぐログレスのダンジョンに着けるから、そうしたら、たくさん動けるからな〜。」

「ニャッニャゥー(やったー)!」


 追い駆けっこするフェルドもいないし、寒くなってから狩りで外を動き回る事も出来なくなった。……やっぱり運動不足だよな。

 ん?君は平気だろチビ。え?果物採取し隊の出番を察知した?そうか!なら、ダンジョンに入ったら頼んだぞ!!


 そして、先にみんなで朝飯食って、その後、俺だけ魚取りをする為に外へ出た。

 時刻は7時を回った所で、天気は快晴で微風。アラームを2時間後にセットしたら、用意スタート!


 水の透明度も高く、魚が見えてるよ〜〜〜〜!

 俺、釣りをした事が無いから楽しいのか分からんけど、ちゃんと時間のある時に一度やってみたいな。


 今日は他の目的があるから、さっさと魚を捕ってハウスに戻らねば。


 捕る方法は前と同じく操水の網。悟郎さんが好きなクンコウギョがいると良いな。


「あれから、さらなる段位へと上がった(1段のみ)、俺の操水の術で一網打尽だ魚共!」


 気合いを一発入れて、さて、漁をやりますか!水中で水の網を作り、引き揚げる!よいしょーーー!!


 前の時は、頭を打ち付けて収納をしていたけど、今回は新しく『氷雪の術』を使って氷締めだ!

 魚を上げたら直ぐ様、氷雪で凍らせ収納。それを2時間繰り返し、黙々と魚取りをしていると、アラームが鳴ってタイムアップ!


 今回は、確認もせずに取れるだけ取ってそのまま収納したから、ログレスに着いてから時間を見計らって確認と解体をしなきゃな。


「悟郎さーん、チビー!お待たせ!魚取り終わったから街に行こう!」

「ニャッ(わかった)!」

「キュキュ!」


 定位置に入ってもらい、ハウスを収納したら街道に戻り、今度こそログレスへ。もう、寄り道はしない。たぶん!


 寄り道もせず順調に進む事3時間。お昼ですよ!

 街道には行き交う人と馬車が増え、その先には街の外壁が見えて来た!


 そして、気持ち辺境より暖かい。お昼は街で食うのも良いな〜!考えながら、健脚だけ使い街道を走る。


 馬車を抜き、人を抜き、馬と競争をしながら、メシ(街)を目指して走った。


 そして、やっと外門の検査待ちの列に到着!


「やっと着いたよ〜〜!悟郎さん、ここがログレスって街で、果物が採れるダンジョンがあるんだって!街の中にも甘くて美味しい物があるらしいから、探して食べような!」

「ニャッニャゥ(やったー)!!」

「キュキュキュキュキュ!!!」

「はいはい、チビにも新しい果物を食わせてやれると思うから、見つけたら教えてくれよ?」

「キュゥ〜〜〜!!!」


 テンション上がったチビが、ずっとキュキュキュと襟元で鳴いている。どうやら、既にセンサーが反応している模様。

 

「次の者!!」

「はい!」


 やっと順番が来た!身分証を渡し、悟郎さんとチビには顔だけ出してもらう。所謂、顔パスだな!


「ラクシェルから来たのか?」

「はい!」

「歩いてか?」

「走って来ました!!」


 俺がそう言うと、門番さんが驚き、俺と悟郎さん達を交互に見た。


「馬車を使えばいいものを……。道中は大丈夫だったのか?」

「??はい、大丈夫でした。ありがとうございます。従魔に美味しい果物を食わせたくて来ました!(だから早く通してくれ!)」

「そうか……。お前達は良い主人に恵まれたな。街に入って右手の道を進むと、市場が並んでいるぞ。その先には食堂もある。『クレーフル』と言う名の店は、安くて量もあって美味い店だ。良かったら、行ってみるといい。」

「ありがとうございます!!」


 何だか、凄く親切な門番さんだったな……。どうしてだろ?ま、いいや!情報あざっす!!

 チビのキュキュキュを止める為にも、さっさとフルーツゲットだぜ!


 外門から門番さんに教えてもらった通りに右の道を進んで行くと、道の両脇を所狭しと様々なフルーツを並べている店が軒を連ねていた。


 スッゲー!!マジ凄え!!目移りする!!

 流石にチビも鳴くのを止め、キョロキョロと見廻し、アレもコレも食いたい!ってアピールなのか、俺の顎を手でかいて来た。


「いや…本当に凄えな。これは端から順番攻めを敢行するしかないぞ、チビ……。」

「キュ!!!!」

「悟郎さん、買物したらすぐに、食堂行くから買物させて!」

「ニャニャゥ(いいよ)!」


 よし!悟郎さんにつなぎの燻製を渡し、お買い物スタート!!


「すみません!5個下さい!」

「はーい!毎度!1500ゼルだよ!」

「これはダンジョン産なんですか?」

「もちろんだよ!ここの市場にある物は全てダンジョン産さ!外門から左に行ったら、それ以外の物を置いてる店があるよ!」


 最初に買ったのは、手のひらより大きなイチゴ。値段も良いけど、1パック分と考えれば安いのか?


 次はバナナ!え?黄色い木刀の間違いじゃない?ってサイズだ。食い物がデカイのは本当に異世界の良い所だよ〜。


 続いては〜やった!アッポーはあってもパイナポーは無かったんだ!1個下さい!


 あっ!これ見たことある!確か釈迦頭シャカトウだ!螺髪らほつ1つがデケェよ!チビ、1螺髪らほつずつ食おうぜ!………………うおっ!甘っ!美味っ!


 来たぁーーーー!!マンゴー!マンゴーだよ悟郎さん!あ………ごめんなさい。少し浮かれ過ぎました。ハウスに戻ったら、美味しいイチゴジャム作るから許して!

 

 チビ、釈迦頭シャカトウもう1個食う?はい、どうぞ!さ〜て、お次は〜?あ!あった!スイカだ!カレントがメリエナさんの好物だって言ってたから、絶対に買って………ダンジョンで採れるか?


 う〜〜ん。やっぱり買っておこう。ダンジョンで採れたら採れただ。味見もしたいしな〜!


 ん?あれは………。キウイか?お前、キウイなのか?!鳥のキウイみたいなサイズになってんぞ!大玉にも程があるわ?!


 ヤッベー!ログレス超楽しい!でも、もう食堂に行こう。そろそろ悟郎さんのご機嫌が下降気味だぞ!


 チビにはマンゴスチンを渡して、教えてもらった食堂『クレーフル』に到着!門番さんがオススメするだけあって、人気店らしくメッチャ混んでる。これ座れるのか〜?


「シロー!!おい!ここだ!!こっちに来い!」

「へ???」


 食堂の中から急に声を掛けられた。え??ログレスに知り合いはいないぞ??

 そう思いつつも声のした方を見ると、安心の顔が見えた!ロレンドさんとトラキオさんだ!!あれ?ハラキリは便所か?いねぇな…。

 

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