第227話 ログレスへ向けて

「じゃあ、ちょっと行って来まーす!」

「おう!気ぃ付けて行って来いよ!土産はいらんから、俺の所でも育てられそうなモンがあったら買い取るから、買って来てくれ!」

「了解っ!」


 土地を借りている農家のマゼルオさんに挨拶し、街の門を目指す。皆には、昨日の内に出掛て来ますって、伝えてあるから大丈夫だな。


 それにしても、辺境の街もだいぶ寒くなって来て、最近は吐く息が白くなる。

 悟郎さんとチビが外に出る時は、専用のモコモコスリングに一緒に入って出て来ないし。

 更にその上から幻惑のマント(温度調節機能付き)を羽織ってるから、聞いた所、出なければ快適らしい。


 これから行くログレスは、馬車で3日の距離だ。

 俺はチンタラ乗り合い馬車で行く気は無かったんで、魔法を使ってガンガン進む!目指すは、明日の昼頃の到着だな。


 こんな時こそ馬がいれば、違ったんだろうな……。まだ見ぬ俺の愛馬よ!早く一緒に駆けようぞ!!

 どこだーーー!どこにいるんだーーー馬ーーーー!恥ずかしがらずに出て来いやーー!!!


「お?寒いのに早くからどっか行くのか?」

「おはようございますフウライさん。これからちょっとログレスに行って、気が向いたらランティエンスまで足を伸ばすかもしれません。辺境は寒くて、悟郎さん達が外で自由に動けないんですよ。」

「ああ、デザートキャットならそうだろうな。ツリードロワは、本来なら冬眠中だろうし……。」

「ログレスのダンジョンは、温暖な気候だって聞いたんで、先ずはそこで様子を見ます。」

「ははっ!ダンジョンは暖まりに行く為の場所ではないが、確かにあそこなら丁度良いだろうよ。気を付けて行って来いよ!」

「はい!!」


 フウライさんに見送られ、街を出る。

 初冬の朝は遅い。まだ薄っすら暗いや。……何だかコンビニの早朝バイトを思い出すな〜。


「昼ご飯は〜、地図に書かれていたスーレン村の『甘焼き』を食うぞ!」

「ニャ(うん)!」

「あ、悟郎さん起きてたの?これから魔法で進むから、ちょっと揺れるからね!」

「ニャッ(わかった)!」


 事故防止には努めるけど、万一の場合にそなえて『護身』を全員に掛け、続いて『健脚』、『跳躍』、『操風』を重ね掛けして進んでくぞ!

 久しぶりにマントのフードまでスッポリ被り、レッツゴー!


 健脚のスピードに乗った所で、進行方向へ跳躍し、また駆けて、跳躍。

 段位の上昇から跳躍距離も伸びて、今では300m近く飛んでる。なので、障害物がなければ1kmくらいはあっという間。


 しかし、異世界で言う馬車で3日の距離がいったい何kmなのかが不明だし、休憩とかで時間を取っているだろうし…と、諸々を考慮して俺なら今日中に着くのでは?と、高を括ってます。はい。


 これから行くログレスは、辺境から一番近い大きな街だ。その間にも小さな村は点在しているが、店も宿屋もろくにないので、商人も冒険者も休憩スポットとして立寄るのみだと聞いた。


 まあ、村は少し覗いてさよならかな。マゼルオさんに渡せそうな野菜類があった時だけ交渉してみよう。


 朝も早いせいか、通り過ぎる馬車もまだ無く、跳躍を繰り返し進む事約3.5kmで最初の村に到着した。畑はあるけど、この時期は辺境と同じで特に植えられている物は無かった。


「まだ少ししか進んでねぇしな…。燻製でも食いながら行くか…。」

「ニャッム(食べる)!」

「悟郎さんも食う?」

「キュ!!」

「分かった、チビもな。」


 俺と悟郎さんはビーフジャーキー、チビにはレーズンの房を渡し、また、進んで行く。






◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇



近況に『士郎のマジックハウス』の簡易間取り図を載せました!


文章だと表現不足が否めなかったので ฅ⁠^⁠•⁠ﻌ⁠•⁠^⁠ฅ ニャ~


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