第224話 林檎と牛乳
「ニャォゥニゥ(なんかいた)!!」
「は〜〜い、よっ!収納!悟郎さんありがとう!……確かに何かいるね。見えないからもう少し近づこうか。」
「ニャ(うん)!」
悟郎さんに教えてもらい、索敵に反応があった方へと向う。すると、ブモゥ〜〜!とマウンテンモウの鳴く声と共に、ドスンドスンと何かが激しく当たる音がしてきた。
気配を抑え静かに近付くと、デカいマウンテンモウが小さいマウンテンモウに体当たりを繰り返している。
は?!何でよ?!マウンテンモウって、同種で争う魔物だったのか?意味が分からず様子を伺っていると、小さいモウの後ろに更に小さなモウが2頭、身を寄せ隠れていた。
「……仔牛?…………って小さいのはメスか?!見つけた!悟郎さん!一番デカイモウだけ倒すぞ!!」
「ニャッ(わかった)!」
同種で争う理由は分からないけど、オスに用はないから倒そう。あとは、どうやってメスから牛乳をもらうかだ……。ん〜〜〜!冒険者ギルドか商業組合で搾乳方法を聞いて来りゃ良かった!とりあえず、メスが押されてるから倒すのが先決だな。
「はいはい。そこまでだぞ〜!オス同士の喧嘩ならともかく、なんでメスと子供をを狙うかねぇ?」
「ニャフゥ(行くよ)!」
「いいよー!悟郎さん、行っちゃってー!!」
ふふふふ〜〜!俺も最近知ったけど、ウチの悟郎さんはさらなるパワーアップをしていたからね!(過去形)
名前 悟郎(士郎の従魔)
性別 男
種族 デザートキャット(転移者の保護中)(チビの主人)
レベル 51
属性 土
状態 怒りの制裁中
体力 172(+30)
耐久 166 (+30)
力 167(+30)
魔力 169(+30)
知力 168(+30)
瞬発力 171(+30)
運 205(+30)
特技 猫だまし、砂飛ばし、ネイルナイフ 礫乱射 飛爪斬
装備 従魔の首輪
ふふ……アハハハ〜〜〜!!悟郎さんかっけー!!また遠距離攻撃を覚えたよ!『
それに運の数値!俺、83になって嬉しかったけど、悟郎さんの205(+30)の約三分の一しかないのが分かって、現実見てちょっとテンション下がった!
あと、気になったのは『怒りの制裁中』………あのスクリュードライバーはそのせい?一発でかなりのダメージ追ったけど、まだ継続なの?何がいけないのかちゃんと言ってくれないとダメだよ?
察しろって言うなら、俺は勝手に理由を考えるけど、後から文句は言わないでね?このままだと、俺は昨日の夕飯の肉が少なかったのかな?って結論になるからね?
そこまで言って、やっと悟郎さんの不満を聞く事が出来た。要は『何でみんなを追い出したんだ?!』って怒っての抗議行動だった。
ミスリアさん達が無事貸家を借りられて引っ越しをしたのを期に、カレント家の庭からハウスを撤去した。
そして俺は、以前話を受けてくれた農家のマゼルオさんと敷地の賃貸借契約を交わし、現在はそこにハウスを置かせてもらっている。
そうなると、ミスリアさん達はもちろん、カレントとメリエナさんもハウスには来なくなる。
それを悟郎さんは、俺が追い出したと思っていた様だった。
人の事情なんて、悟郎さんには関係無いよな。
“みんながいなくなった”って事が悟郎さんには重要なんだから。
ミスリアさん達がハウスから出る説明は聞いてたけど、納得はしていなかったって事だ。
そう言えば、フェルドを追い駆けては捕まえて遊んでたし、ジェインの編んでた紐にちょっかい出しては怒られ、メリエナさんにはブラシッングしてもらっていたな…。
何だかんだで悟郎さんも皆に慣れ、俺以外の人ともコミュニケーションがちゃんと(?)取れていたんだ。
なので、もう一回、悟郎さんが納得するまで説明をしたのだった。
そして、やっと理解してもらい、内臓の損傷を伴う様な制裁は止んだ。
「ニャゥフ(獲った)!!」
「早いね〜!悟郎さんお見事!!」
オスのマウンテンモウが、悟郎さんの攻撃を受けて倒れた。…流石、悟郎さん。ちゃんと肉を傷めない様にモウを倒してる。
「さて、ここからどうしよう……。とりあえずはメスの回復をしておくか。」
オスの体当たりを受けてフラフラになっていたメスに回復を掛けると、そのメスは抵抗する余力が無いからか、黙って回復を受けてくれた。
メスでも俺の知ってる乳牛の1.5倍の大きさがある。仔牛は、生後どのくらいか知らんけど、見た目にまだ幼かった。
名前 なし
性別 女
種族 マウンテンモウ
レベル 40
属性 土
状態 驚愕
体力 196
耐久 175
力 239
魔力 71
知力 56
瞬発力 101
運 53
特技 体当たり
弱点 足
はは!回復されてびっくりしたのかな?体力のマイナスも無いし、ダメージは問題ないな。
子育て中すいません!牛乳ちょっと分けてください!
「ニャーニャッ(命令)!」
「ブモォォォ〜〜〜〜。」
「え?え?!悟郎さん、モウに言って通じるの?!」
「ニャォフ(当たり前)!」
「……マジか。」
ウチの悟郎さんが優秀で怖い。その後、しばらくモウにウニャウニャ言ったと思ったら、頭をポフポフされた。
「ニャニャゥ(いいよ)!」
「ええ?!本当にいいの?!モウに話しつけてくれるとか、悟郎さん凄えな?!」
「ニャ(うん)〜〜♪」
意味分かんねぇけど、牛乳くれるらしいから、ここは遠慮なく頂きます!
とは、言っても搾乳とかした事ないから、見様見真似でチャレンジだな…。先ずは浄化させてくれ!
「……用意しておいた容れ物置いて……よし!失礼します!」
モウの横にスタンバイ!……いざ!……………!!おお!!一回の搾りでメッチャ出る!!悟郎さん、やり方が拙くないか聞いてくれる?………大丈夫?
え?張ってるから沢山搾ってくれ?!……あ、もしかして仔牛は既に離乳してんのか?よし!!だったら遠慮なく!!悟郎さん、止めて欲しくなったらストップしてくれって言って!
◇◇◇◇◇
「今日は沢山の牛乳ありがとうな!!また来るから、大丈夫だったらヨロシク頼むよ!!」
「ブモゥ〜〜〜♫」
「悟郎さんも交渉ありがとう〜!街に帰ったらご飯いっぱい作るから!もちろん、この濃厚フレッシュ牛乳を使った料理も用意するよ!」
「ニャッニャゥ(やったー)!!」
悟郎さんと一緒に牛乳の試飲をしてみたら、学校の給食で出て来た牛乳とは比べ物にならない濃厚さと、仄かな甘味があった。
しかも一搾りの量が、水道の蛇口から出てるかの様に大量で、用意しておいた大きな水瓶がいっぱいになった。
牛乳は悟郎さんも気に入って、もっとくれ!って言われたから、今日の料理にも沢山使うぞ!
「………キュ。」
「あ、チビ…やっと起きたのか?お前、林檎食い過ぎだよ。ちゃんと沢山採ったから、後は街に帰ったらだぞ?」
「キュ〜〜!」
「さあ!じゃあ目的達成出来たんで帰るぞ〜〜!」
ギルドへの納品は明日にしよう。今日はモウ気持ちがクリームシチュー。ホロトリ沢山入れて作るぞ〜!
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