第223話 秋の実りと久しぶりのステータスチェック
「……秋深し 隣は燻製 食う猫ぞ。悟郎さん、お代わりいる?」
「ニャ(うん)!」
えーー我々『果物採取し隊』は、現在、西の山に来ております。だいぶ寒くなって来たんで、そろそろ林檎が採取出来るんじゃないかと思ってさ。
以前来た時に、どこの緑地帯かは地図に記載してギルドにも報告済み。浅い緑地帯だから採取依頼が増えるといいよな〜。
市場にも流通して欲しいんで、今回林檎が採れたらギルドにも売る予定だし。
「キュキュキュキュキュキュキュキュ!!!!!」
「はいは〜い!いつもより多く鳴いてますね〜。チビ、見つけたんだな?」
「キュゥ!!」
「どうやらチビも林檎好きみたいだし、しっかり採取するぞ!」
「キュ〜〜〜〜〜!!」
俺の頭の上でチビが鳴き、左肩では悟郎さんの燻製咀嚼音が奏でられている。……俺も何か音出すか?
「ユーアァーー ショーーーッくたたたたい、痛いよ悟郎さん!!」
「ニャオニャッ(ふざけないの)!」
「……いいかい悟郎さん、良く聞くんだよ?歌は心のビタミン剤。必要な成分なんだ。特に俺みたいなヤツにはね……。不足すれば、いざという時に心眼が開かなぁぁぁ!!猫パンチ反対!!俺の脳を揺さぶって良いのは
「ニャオン(ばか)!」
この類の案件は、悟郎さんにNG出される率が高過ぎる!いったい原因はなんだ?俺が熱中し過ぎるからなのか?
この前もソファに寝転んで漫画を読んでいたら、急にプチ砂漠から来た悟郎さんが、俺の無防備な腹にスクリュードライバーよろしくダイブしてきた。
あれはえげつなかった……。口とケツから色々出そうだったし。その時思ったんだよな……。身体強化系の魔法があれば…って。
俺ってば、ステータス見る習慣が身に付かなくて、思い返すとフォレストジャイアントベアを倒した辺りから、全く見ていないのに気付いた……。今更シローです。
参考書も開いてないし、技能と魔法の伸びが偏ってるだろうな………と、思いつつ、恐る恐るステータスチェックをした。
名前 九条 士郎
性別 男
種族 人族(新種)
レベル 81
属性 闇
状態 腹腔内圧異常
体力 240
耐久 268
力 240
魔力 249
知力 240
瞬発力 240
運 83
特技
魔法
索敵の術(10段)
清浄の術(8段)
点火の術(9級)
虚偽の術(8級)
操風の術(9段)
分解の術(6級)
解錠の術(初級)
回復の術(5段)
護身の術(初段)
健脚の術(2段)
解毒の術(3級)
解体の術(6段)
跳躍の術(3段)
操水の術(4段)
暗視の術
操土の術(9級)
製錬の術(5級)
濃縮の術(2段)
抽出の術(5段)
氷雪の術
灯光の術
撹拌の術
圧縮の術
従魔 デザートキャット(悟郎)、ツリードロワ(チビ)
とりあえず『状態』を見た瞬間、急いで回復を重ね掛けした…。そして、俺の耐久値では悟郎さんのスクリュードライバーを受ける事は出来無いと知りました。
また、バトヴァルの毒を知って以降、どんだけ調べたんだろうね〜?って程に『博覧強記』が上がっていた。まあ、しょうがない…俺って繊細だから。
あと上昇率が良かったのは、『清浄』、『回復』、『健脚』、『解体』、『跳躍』、『濃縮』、『抽出』だな。
『濃縮』、『抽出』は、料理と染色の為に使った。他は南の山に行ったり来たりした時にちょこちょこ使ってたな…。
山登りでは、跳躍してから『
ミスリアさんとはまた違った用途でノビタケ大活躍中!辺境を離れる前に追加で沢山採って来なきゃな。
新しい特技、
魔法は4つ、氷雪、灯光、撹拌、圧縮。俺はこの新たな魔法を見て確信した。啓示であると…。
“シャーベットもしくはジェラートを作れ”と俺に言ってるんだと!!
なので、今回、西の山での目的は、林檎の採取とマウンテンモウのメスに会うこと!!今度こそ、牛乳をゲットしたい!!いや、するんだ!!!
「……あ!あった!林檎の木!ちゃんと赤く色付いてる!」
「キュゥ〜〜〜〜!」
「待ってな、すぐ採るから!」
「キュッ!!!」
見事に実ってるな〜!!やっぱり赤い木の実はテンション上がっていい!甘い香りも漂って来るし!
大丈夫だと思うけど、清浄と確認はするよ?
【マンツァナの実(林檎): マンツァナの木に生る果実。夏に結実し、秋〜冬に熟す果実。食物繊維、カリウムを多く含んでいる。食用可能。】
「食ってよーし!はいチビ、お待たせ〜!」
「キュッ!!!」
いつも通り、サイズがバグってるんで最初の味見は半分こ。林檎って皮から良い匂いさせてるよな…。
では、実食!!
………シャクシャクシャクシャクシャクシャクシャクシャクシャクシャク……。甘っ!美味!!歯ざわり最高!!!果汁もたーっぷり!
これは味を知ったら絶対流行るだろ?!今迄は、きっと見つけた冒険者が独り占めしてたのかもしれないな。まあ、流行るかどうかは値段次第だけど!そこの辺は考慮してくれって、ギルド長に言っておこう。
しかも、この緑地帯には林檎を食う魔物がいないのか、手付かずのとても良い状態!鳥類はクソホークがいるせいで、あまり移動しないのかね?
まあ、そのお陰で気兼ねなくたっぷり採れるんだから、結果オーライだな!
「悟郎さん、ジャムにも出来る美味しいフルーツを採るから、索敵任せていい?」
「ニャ(うん)!!」
「ありがとうー!終わったらハウスに戻ってジャム作るから!あ!あとマウンテンモウがいたら教えて!特にメス!それも任せて大丈夫?」
「ニャォフ(当たり前)!!」
よき!よき!では、俺は林檎採取に専念させてもらうよ!緑地帯の中で赤く輝く林檎は、採取されるのを待ってたのか?ってほどに良く目に付くぞ!
「いいよな〜林檎。煮て〜焼いて〜生食も美味いけどジュースも良いな!これからもっと寒くなるけど、シャーベットも作る!」
「キュキュ!!!」
「ん〜?あぁ…お代わりね。もう面倒だから、切らずにそのまま渡すぞ?」
「キュ!!」
チビの異次元胃袋、本当に凄え入るな。大食い選手権に出る人もこんな感じなのかね?
「よ〜〜し!!この辺は粗方採れたな。奥へ移動するぞ!」
「ニャ(うん)!!」
「シャクシャクシャクシャクシャクシャク……。」
食うスピード早っ!チビは林檎がそんなに好きなのか?元々この西の山にいたからかねぇ…?
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