第116話 焼き肉パーティー

「悟郎さん。今晩のご飯は焼肉と言う料理だよ。肉をひたすら焼いて食う!ただ、これに付きるシンプルだが美味い飯だ!」

「ニャッニャゥ(やったー)!!」

「昨日も食べたモウがメインだけど、昨日出せなかった内臓とかも焼いて食べる予定なんだ。その際の注意点を言うな。」

「ニャッ(わかった)!」


 今日は、ぷち砂漠で炭を使って網焼きするから、焼いてる途中で手を出さない様に一応クギを刺しておく。


「網の上にある肉は手を出しちゃいけません。焼けたら直ぐに悟郎さんの皿に乗せるから、それまで待つこと!いいね?」

「ニャッ(わかった)!!」

「内臓は脂が多くて、焼くのに時間が掛かります。煙りが沢山出ていい匂いもするけど、ちゃんと待たないと美味しいのは食べれません。待ってる間に食べれる物も別に用意したので、約束守ってね!」

「ニャニャッ(うん。分かった)!」


 チビには、皿にフルーツ盛合せを用意して…、さあ、準備万端だ!お客様への注意事項もお伝えした。


 では、第一回、焼肉祭りを開催しまーす!!!


 先ずは、薄めの塩タレに漬けて味を染み込ませた、ロース、カルビ、タンを焼くぜ!


 早めに焼ける様に、厚みは一般的な……常識的な……悟郎さんからもっと厚く!と、言われそうなスライスだ。

 質(アツミ)より量(枚数)で、焼肉は勝負だ!


 初っ端から、エンジン掛かってる悟郎さんを待たせない様に、網いっぱいに肉を並べ焼いていく。

 そしてもうひとつの網で、ホルモン系を並走させる。


「悟郎さん、肉は薄いけどその代わり直ぐに焼けて、炭火のいい香りがついてるから、ドンドン食べてな!はい!どうぞ!」


 マジで勢い良くガツガツ食ってるから、高速で肉が消えていく………。

 今日は、速さが尋常じゃないぞ!いつもの3倍は速い!!赤い残像が見えて来そうだ………。


「ニャウニャッ(はやく)!」

「悟郎さん早過ぎ!ちょっとは噛んで食べて!」


 クッ!やはりある程度の厚みは必要だったか?!

 特に、タンの食い付きがメッチャいい!


 よし、ホルモンが焼けたぞ!お前達の噛みごたえで悟郎さんを足止めするんだ!


「悟郎さん、はい。これがホルモン。モウの内臓だよ。よく噛んで食べてね!ね!」

「……………。」


 悟郎さんの返事を待っても、今日は無理だろう。

 お次、醤油ベースのニンニンダレに漬け込みした、ミスジ、モモ、レバーの濃い系を行くぞ!

俺、今日程、清浄の術を覚えて良かったと、思った事は無いね!

 網を交換せずに、魔法で直ぐに綺麗に出来るから!


「はい、次が焼けたよ!それと、これはモツ煮込みって言って、モウの内臓を味噌仕立てで煮た物だよ!」


 焼きが追いつかないんで、早々に煮込みを投入!

ホルモンも次々焼かなきゃ!

 そして、次はちょっと厚切りシリーズ。タン、ヒレ、ランプです!


「さあ、お待ちかねの厚切りですよ!まずは、タンをどうぞ!」

「ニャッニャゥ(やったー)!」


 久しぶりに悟郎さんから喜びの声が出てる。

 そんなに好きなのね……?

 なんだか、俺、ちょっと心配だ…。ぼんじりの再現にならないと良いなー…。


「お次はヒレですよー。昨日、ステーキでも食った部位だよ!」

「ニャッ(わかった)!」


 もちろん、今日はあくまで焼肉なんで、ステーキの様に、6cmなんて厚みはない。

1cm 程の厚みに留め、代わりに10枚づつ焼いてるからな!


「厚切りシリーズのラストを飾るのはランプ!!この肉は柔らかく、サシも程良く入り、肉の旨味が強い部位だ!」

「ニャッニャゥ(うんっ美味しい)!!」


 さすが、厚切りシリーズ。大好評!

 でも悟郎さん、内臓も好きみたいだしな。

 魔法で、下処理も簡単に出来てホントに良かった!


 さて、隣りに用意した鉄板で、各部位のバラ肉たっぷりの野菜炒めにうどんを入れ、美味汁を吸わせた俺の激推しメニューを作る。


「はい、次は野菜も入ってるけど、それ以上にバラ肉がたっぷりです!美味しいエキスを吸ったうどんと一緒に食べてちょーだい!」


 なんて、贅沢なうどんだ………。

 味見をしたけど、俺はうどん増しで食うぞ!


 最後に、テールスープを骨付きのまま出す。

 テール肉は、既にいつでも骨からホロッと取れる状態だから、あまり時間は掛からず悟郎さんなら食べちゃうだろう。


 さあ、これにて焼肉祭りは閉会です。


 肉はたくさん焼いたけど、家は焼かずに済んで良かったよ!

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