第115話 呪いのダンジョン品
「……悪いな。態々来てもらって。」
「病人に来いと言う程、俺は偉くないですよ。治療院を開いている訳でもありませんし。」
何気に異世界来てから、店屋以外で人ン家来るのって初めてだな。
ギルドから歩いても2〜3分の場所にその家はあり、庭付き2階建でメルヘンチックな可愛い家だ。
正直、
「…入ってくれ。」
「お邪魔します…。」
よし。土足でOKなんだな。
そのまま2階に上がって行くと、ひとつのドアの前に立ち
「……メリエナ。入るぞ。」
部屋の中からは、特に返事が無い。
それがいつもの事なんだろう。
窓際に置かれたベッドには、痩せ細って本来の面影を失くした女が寝ていた。
少し、腐敗した様な臭いがする……。
寝っぱなしで床ずれでも出来てんじゃないか?
とりあえず先に確認させてもらうか…。
名前 メリエナ
性別 女
種族 人族
レベル 10
属性 水
状態
体力 18(-15)
耐久 15
力 8
魔力 40
知力 45
瞬発力 5
運 4
魔法 調剤 水魔法 治癒
え………?病じゃない?!
と、とりあえず、この瀕死はマズいだろ?!
「(清浄の術。回復の術。)」
エアコン魔法を会得する際に、俺は何度か失敗をしてしまった。
その為、セルフ回復と隠蔽工作の為に清浄魔法を使っていたら無詠唱になるまでに段位が上がっていた。
悟郎さんには、絶対に内緒だ!
名前 メリエナ
性別 女
種族 人族
レベル 10
属性 水
状態
体力 18(-1)
耐久 15
力 8
魔力 40
知力 45
瞬発力 5
運 4
魔法 調剤 水魔法 治癒
あ、マジか!!回復は出来たのに、
俺の持ってる魔法じゃ解呪は無理なのか?!
治療の結果を見て狼狽えていると、悟郎さんが起きて肩に乗って来た。
「ニャッ(アレ)。」
「え?悟郎さん……アレって?」
悟郎さんが見ている方へ目をやると、窓際に水晶の様な丸い置き物が置いてあった。
よく見ると、中心に黒点の様な物が見えるぞ…。
なんだよ?あれは…。
【
あぁー……。これは勝手に出来ないし俺で出来るかも不明だわ。
しょうがない…聞いてみるか…。
「治療の魔法で危ない域は脱しました。ですが、根本的な原因がまだここに残ってます。」
「……分かってる。治療してくれて…ありがとう。」
「あのー、言い難いんですが妹さんは病ではなかったんです。」
「はぁ?!!それはどう言う事だ!!」
「窓辺に置いてある物は何ですか?」
「……治療院の同僚の子が、快癒を願ってと持って来てくれた物だ。」
「あれが原因の様ですよ。調べたら“
「なんだって!!!」
激おこの
しかし水晶は壊れないどころか、ヒビ1つ入っていなかった。
「クソっ!!コイツはダンジョン品か!!」
「………ダンジョン品?(凄え…分かるんだ。流石ギルド職員!)」
「………そうだ。ダンジョンの宝箱から稀に得られる品だ。宝箱から得ても、正しい使い方をしないと機能しなかったり、物によっては使用者の能力が一定以上ないと使えない限定品の事だ。この水晶も正しく壊さないと破壊は不可能だ…。」
「なら、1つ試してもいいですか?」
「方法があるなら何でもいい。やってみてくれ!」
「では。(効いてくれよ〜!人を呪わば穴二つ。相手に戻りやがれ!!清浄の術)。」
“清浄”には、穢れのないって意味もあるからな。
解呪とは違うけど、穢れを払えれば呪いも解けるんじゃないか?と思い掛けてみた。
すると、パン!!と大きな音を立てて、床に転がった水晶が一瞬で砕け散った。
なんか気分的にもう一回、砕けた水晶に清浄の術を掛けそれから妹さんを確認した。
名前 メリエナ
性別 女
種族 人族
レベル 10
属性 水
状態 衰弱
体力 18(-1)
耐久 15
力 8
魔力 40
知力 45
瞬発力 5
運 4
魔法 調剤 水魔法 治癒
「やった!
「本当か?!シローありがとう!メリエナ!聞こえるか?メリエナ!」
男泣きしている所を見る趣味はないんでお暇しようかな?
あと妹さんに残ったのは衰弱だけだから、休んで体力回復しかねぇしな。
では、おじゃま虫は帰りまーす!
これで万一、俺達が呪い状態になっても安心か?
いや、即死系とか、石化とか、麻痺とか、考えたら色々と怖いのがまだあんな!
やっぱ、異世界怖えーわ。
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