第113話 魔物の習性

 いったい、何が聞きたいんだろう?

 それなりにぶっちゃけてると思うんだけどな。


「まずは、レイニアビーは南の山にいたので間違いは無いよな?」

「そうですよ。ディアを狩りに行って、フルーツの採取をしようとしていたら、怒った風のデカいビーが最初は一匹来ましたね。」

「フルーツって、レイニアの果実の事か?」

「です。」


 あの果実を目にして、採取しない選択は無いだろう!そもそも、あんなに美味しい果実を魔物に独占させるなど以ての他だ!

 何たる損失!非常にけしからん!誠に遺憾でありますよ!


「………だよな。お前がレイニアを見て取らない訳が無いよな……。」

「当たり前です。滅茶苦茶美味い果実ですね!邪魔なビーを全部倒した後にしっかり採取しました!丁度、収穫時期に行けて俺は幸運でした!!」


 やっぱり自然の作物は、時期を逸してはならんよ。

 旬って…最高だぜ!!


「…………あのな、あのビーは名前の通りレイニアを主食としてる。それは分かるな?」

「勿論です。生意気な魔物だと思いましたよ!」

「………この際、魔物が生意気かどうかは置いておく。辺境ではな『レイニアの果実に触れる者は、全てのビーの怒りに触れる』と、言われて採取を禁じている。」

「えぇーー!!何て勿体ない!蜜も確かに美味しいですが、あの果実はそのまま食べるべきです!」


 ……ん?全てのビー?

 全てって、フォレストビーも含まれてるのか?


「全てのビーの内に、フォレストビーは含まれますか?」


 なんかうっかり、バナナはおやつに含まれますか?みたいな感じに聞いてしまった…………ププッ!


「フォレストビーは別だ。奴らは花の蜜や花粉が主食だからな。レイニアビーは肉食ではないが、縄張り意識が非常に強く、主食のレイニアの木に近付く者をどんな種族・魔物だろうと、全て敵とみなして、仲間を呼んで、相手が死ぬまで攻撃してくる。それが触れるなと言われている所以になっている。」

「そうだったんですね。でも、今回は巣も含めて全て討伐したと思いますが?」

「………そうなんだよ。お前、全部討伐出来ちゃったんだよ……。クイーンまで倒せば、特段問題なくなるんだが、もし残ってた場合、ヤツ等はお前を追って必ず街に来る。どんなに遠くても、縄張りを侵略した者を執拗に追って来るんだ。」

「なにそれ、怖っ!!」


 アイツがそんな危険な、ストーカー魔物だったとは。面倒臭がらず全部倒して良かった!

 もし、また見つけたら次もしっかり全部倒してから蜜を頂く事にしよう!


「そうだ、怖いんだよ。魔物中には色んな習性を持ったヤツがいるからな。お前はその辺を何も知らず、遇ったら討伐って感じだよな?」

「そうですね。会った魔物で、見逃したヤツは今の所は居ません。念の為、今度ギルドの資料確認して覚えるようにします。」


 そう言えば、最初に行った街ではそんな事を思ってたな…。

 直ぐに街を出ちゃって見ないまま終わってたわ。


「それは…来たら直ぐに確認して欲しかった……。」

「すみません。結局、倒せば同じかな?と思っていたもんで。」

「………………。」

「後で、直ぐに確認しますよ?今度こそ。」


 ここにあれば、行かなきゃいけないダンジョンの資料も見よう。

 もし、想像力を掻き立てる様な具体的な表記をしていたら、例のヤツのページは飛ばして見るしかないがな。


「まあ、自分で確認する事も大事だ。資料集は2階にあるから必ず見てから帰るんだぞ!」

「承知しました。」


 よし。これで資料見たら帰れるな!

 では、早速拝見しますかね!

 俺がやる気になって腰を上げた所で、またギルド長がストップを掛けて来た。


「おい。まだ終わってないから座れ。」

「えぇーー!まだ何かあるんですか?」

「お前、なんでこの3人をここに同席させたと思ってるんだよ?!」

「………成り行き?」

「違うわ!!」

「じゃあ何でですか?」


 そう言えば、何でいるんだろう?とは思ったんだけどな。

 ギルド長が他に用でもあんのかな?と、勝手に考え終了せてたわ。


「今までの討伐歴から、その辺の心配はしていないんだが、お前には一般常識が余りに足りなさ過ぎだと判断した。そこで、この3人に暫らくお前に付いてもらって、その辺を教え込んで貰おうと思ってる。」

「えぇーー??!!俺的にはその都度、ご指導頂ければ十分ですが?あと、姉さんからは学ぶ事がなさそうな気がしてます。」

「何でよ!!!」


そう言う所です。

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