第109話 ダンジョンの情報

「………元気を出して!悪い事じゃないと思うわよ?あそこのダンジョンは深層に行かなければ、敵も比較的倒しやすいし。とにかく美味しいフルーツ盛りだくさん!!…………ね?」

「………モンキーは嫌。」

「あぁ。俺もアイツ等は勘弁だな〜。強くはないんだが攻撃方法がな……。あとは見つけにくかったワームだな。」

「ワーム??!!!??」


 ああぁぁー!!名前を口にしてはならない、禁断の生物なのに!!!

 悟郎さんの懇願に頷いてしまった俺を励ましてるのか、さらなる絶望に落とそうとしているか、不明な情報が入って来た。


「大丈夫よ〜!アイツ等全然強くないもの!!気付かずに近づくと、木の上からボトッて落ちて来て糸を吐きつけて来るだけよ?」

「キモっ!!!全然大丈夫じゃない!!!」


 ハラキリこの野郎!!ふざけんじゃねえ!!

 全身に鳥肌が!!寒気と倦怠感まで襲って来た!!


 このままじゃ、話しだけで不調を来す恐れがある!!俺のエマージェンシーコールを誰が受け取って来れ!


「…………大丈夫か?顔色が悪い。」

「…………もう……虫の話しは結構です。」


 このままでは、せっかく美味い飯を食ったのに、俺の胃袋がリバースマウ○テンを超えてしまうよ……!

 そんな勿体ない事は、じっちゃん(脳内)の名に掛けて絶対に出来ない!!


 俺から言質を取った悟郎さんは、すでにフードの中で再び眠りについた。

 くそぅ!!やっぱり看板(チビ)背負ってるナンバーワンの本気のおねだりは魔性だ!!

 どう抗えって言うんだよ!!


「…………嫌いなのか?」

「……強かろうが、弱かろうが、見た目がダメ…。」

「えぇ〜?!あそこのは緑色でコロコロしてて、結構可愛いいと思うわよ?」


 ハラキリこのクソ野郎!!テメェ、俺にお前の回復した事を後悔させたいのか?!!


「………シズナエル、そうじゃない。どんなに小さくても蜘蛛は嫌だろう?それと一緒だ。」

「トラキオ!!ヤツ等の名前を出さないで!!!」


 剣兄さん!覇気が無いとか思ってごめんよ!

 あんた、気遣い出来るナイスガイだ!!


 それに引き換え、ハラキリめ!!

 機会があれば、其処彼処そこかしこで、しっかりと熨斗付けてお礼をしてやるからな!


「……まあそんな訳で、ダンジョン内には階層ごとの自然が広がってる。動物もいるが君の好まない敵も多いと思って心して臨んだ方がいいぞ。」

「……全部がダメな訳でもないんです。蜘蛛なんか、寧ろ可愛いもんで……。要は、手足が付いてれば良いんですよ。」

「だから、名前を出さないでって言ってるでしょう!!!」


 お返しだハラキリ。

 お前の様な雑な女には、今後も気を使う事は無いと思え!


「どうしたって、行かない選択はもう出来ないので、腹を括ります。」

「……………そんなにか?」

「……そんなにです。」


 こればかりは、やっぱどうしたって変わんねぇ。

 宿敵ムシ類とは、そう言うもんだろう?

 頑張るけどさ…頑張るけど。


「まあ、無理はしない様にな。その懸念が無ければ、手に入れたフルーツ類は高値で売れるし、倒した魔物の素材も売れるし、街は賑わってるし、悪いもんでもないぞ?」

「……そうですね。せめて、美味しいお菓子を沢山食べて楽しみますよ。」


 そうだ。フルーツ、ナッツ、野菜、薬草は……どっちでもいい。

 ナッツは、何が取れんだろう?


 アーモンド?カシューナッツ?ヘーゼルナッツ?ピーナッツは…地中掘って収穫か?

 胡桃、ピスタチオ、マカダミアナッツ……あとはわかんねぇ。

 食った事無いのが採れるといいな…。


 よし、この調子だ!!ナッツ達よ!!

 俺のヤル気スイッチに活力を与えてくれ!!

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