第63話 ボーナス

 本日、3度目の冒険者ギルド。


 もう夕方だから早く外に出て、ハウス用地を確保したいんだけども……。


「…!!遅せえ!!どんだけ食い歩いてんだよ!!」

「……………………………。」


 この、イカれクソマッド売却担当め…。今度、熊肉獲って来たらテメェの目の前で、美味しく食ってやるから覚えておけよ!


「いいから早くこっち来い!」


 ……もう帰りたくなった。異世界カラスは鳴いてないけど帰る時間かな?やっぱり、帰ろかな〜?

 あ!異世界って成人は何歳からだろう?16歳は成人だといいな…。


「待て待て待て!何で帰ろうする?!」

「いや、子供は帰って寝る時間かなと……。」

「早いわ!!」


 リアル首根っこ掴みで、先ほどの部屋へ連行される。悟郎さん。悟郎さんは、こうやって運ばれた事ある?無い?あ、そう。俺も始めてだよ。中々新鮮だね。


 それに、こいつ痩せっぽちの曲に力あんのな。やだなー。俺ももっとデカくなりたい。やっぱ、飯食って寝る!これだよな!!


 え?悟郎さんもデカくなりたいの?……そうか。デカい悟郎さんも強可愛いくて頼りになるだろうな…。

 肩には乗れなくなるけど、お互い最強目指して頑張ろうな!


 ………え?やっぱりこのままでいい?何で?肩に乗れないのはイヤ?

 ………………………………悟郎さんっ!!

 俺の肩は、貴方の永年リザーブシートです!いつでもご利用お待ちしております!


 でももし、悟郎さんが大っきくなっても俺の肩乗り出来る様に頑張るよ!

 きっと、世紀○覇者か、カサ○ドラの看守か、後は七霧の○の男衆レベルの肩に俺がなれば大丈夫!!

 三角筋から上腕二頭筋、上腕三頭筋、胸筋、広背筋………鍛える筋肉いっぱいあるなオイ!


「お!やっと来たか。まぁ、座れ。」


 座れと言われても、その前に椅子に収められる俺。筋肉改造計画を早く立案したいのに!


「さっきは試す様な事をしてすまなかったな。お前にやられて、相手したメルギスが落ち込んでよ…。アレは暫らく使いもんにならなくなった。これだけ見せられたら、文句の付けようが無いよ。今回は、フォレストジャイアントボアの頭部まで納品してくれるなら、討伐報酬として500,000ゼルを支払う。どうだ?」

「それで結構です。」

「よし!こっちの袋は金貨で250,000ゼル入ってる。こっちの袋は銀貨にして250,000ゼル分入ってる。確認してくれ。」


 わーーーい!ボーナスだ!!博覧強記はくらんきょうきで中身の確認をする。間違いなく入ってますね。


「大丈夫です。では、これでお暇させて頂きます。お待たせして、誠にすみませんでした。」

「まぁ、もう少し付き合え。…………おい、あからさまに嫌そうな顔すんなよ。そんな悪い話しじゃないぞ?」

「いいか悪いかは、俺の判断に依ります。俺の考えが世間一般のものとは異なる可能性がありますので。」


 その話しが、領主に会うとかだったら最悪だしな!


「……そうか。なら、まずは話しを聞いてもらってから、お前の判断をも聞かせてらおうか。」

「……分かりました。」

「今回の討伐報告は、この街と森一帯を収められている領主のウィルライズ様に全て伝わっている。」

「…………。」

「既に嫌そうな顔を………まあ、最後まで聞け。今回の『災害指定』討伐に対し、特別褒賞を授与するとのお言葉を頂いている。」

「もう、既に十分な討伐報酬を頂いております。過分な褒賞は身に余るものです。一臣民に対する細やかなお心遣い、誠に感謝の念に堪えません。そのお気持ちだけ賜り、他はこの地の為にお使い頂きたくお願い申しあげます。……と、お伝え頂きたくお願い致します。」

「………会うのも、受け取るのも嫌だと言う事か?」

「ぶっちゃけ、そうです。」


 しばし、見つめ合う、俺とゴリラ。

 何で俺が不用品の回収しに、態々出向かなきゃ行けねぇんだよ?


「……はぁ。やっぱりカレントの言った通りか。貰えるもんなら、貰っときゃいいんじゃねーか?」

「不用な物を欲しがる者がおりましょうか?」

「領主の褒賞を不用と言うヤツはいないぞ?」

「ここに居ますが?」


 再び、見つめ合う、俺とゴリラ。

 欲しい物はあるが探す楽しみもあるんで、結局不用なのよ。それにタダほど怖い物はないでしょう?

褒賞と言う名の紐でも付いていそうじゃないですか。


「分かった。領主様には、俺からお断りを入れておく。」

「ありがとうございます。もし、飲んで頂けない様ならご無理の無い様に。言って頂ければ、直ぐにでもこの地を去りますので。……お話が以上でしたら、そろそろお暇させて頂きます。失礼します。」


 やっと帰れる!さっさとハウス出して、風呂入りたいぞ〜。悟郎さんはお腹一杯で、俺のマントのフードに入って寝てるし。


 残念な事に、丸まって寝ているであろう、悟郎さんの可愛い寝姿が俺からは見えないこのジレンマ……。


 ……ハッ!!ぷち砂漠にキャットタワー作ろう!そこに、ハンモックみたいな場所を作ったら寝てくれるかもしれない!!そうしたら、俺にも見る事が出来るじゃないか!


 俺は慌てて、生地屋に飛び込み、必要な素材を買ってから街を出た。

 木は沢山あるから、すぐにでも製作に着手しよう!


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る