第59話 討伐証明の換金
悟郎さんに金が無くなった旨を伝え、またギルドに戻って来ました。面倒なんでさっきの3番カウンターへ直行しよう。駄目なら駄目で注意されんだろ。
よし!何も言われなかったのでそのまま3番カウンターのベルを鳴らす。また、ヌーっとマッド売却担当が出現。
「………もう、ベアを狩って来たのか?」
「……いえ、違います。追加で買取り出来ないかを聞きたくて来ました。」
「そうか…。残念だ。今度は何を売りたいんだ?とりあえず出してみろ。」
今度、ベアいたら獲ってこよ。確かに他の魔物より遭遇率は低いけど、いない訳でもないしな。
まずは、討伐証明のウルフの尻尾✕5とカワギョジンの背ビレ✕6。乙事○様の牙2本。さあ!ハウマッチ?
「……………これは?」
「?ボアの牙です。」
「こんなにデカい牙を持ったボアはいない!!」
「あぁ…。フォレストジャイアントボアの牙ですから普通よりは大きな牙ですかね?」
「………フォレストジャイアントボアだと?」
「美味かったです。」
「食ったのか?!と言うか、倒したのか?!」
「?はい…。」
そこまで聞いて、マッド売却担当は息を吐いた。どうしたんだ?動悸・息切れの症状にも見えるけど……俺、救○持ってないよ?
「………お前。フォレストジャイアントボアと知らずに倒したのか?」
「普通のボアを狙ってたら、会っちゃいましたんで。しょうがないから倒しました。良かったらこれどうぞ。」
「………これは?」
「ボアの燻製です。ジャイアントな。」
「…………はぁ。もういい。知らないなら覚えておけ。フォレストジャイアントボアは、そのデカさから『災害』指定されている。」
「災害指定?」
聞き慣れない単語に、今度は俺が聞き返す事になった。
「そうだ。街や村の近くに、お前が倒したフォレストジャイアントボアが出てみろ。どうなると思う?」
「………この街の外壁なら、ヤツが壊そうと思えば壊せるでしょうね。背丈が同じ位はありましたから。」
「そうなる前に、倒す努力をこちらもするが、敵わなかった場合はそうなる。だから『災害』指定されている。現れた場合、街や人への被害が見込まれるからな。」
「なるほど。じゃあ、倒しても良かったんですよね?」
何せ乙事○様だからな。神格化されて祀られてますとかだと、冗談では済まなくなりそうだし。
「当たり前だ。俺が言いたいのは、1人でどうやって倒したんだ?って事だ。……これも美味いな。」
「いや、1人じゃありませんよ。従魔と一緒に倒しましたから!」
「…………お前も、その従魔も、見た目通りではないと言う事か。」
「見た目って………。」
「少なくとも、強そうな見た目ではない。」
「確かに悟郎さんは可愛いが、
俺が少しエキサイトして来たので、悟郎さんのポフポフが入った。クッ!なんて絶妙なんだ!お陰でクールダウンしたよ。
「分かった分かった…。フォレストジャイアントボアの討伐証明は、牙2本と尻尾だ。持っているなら出してくれ。」
「………え〜〜?尻尾?あったかな?」
収納から、剝いだ皮を出して良く見てみる。あ!良かった!皮に尻尾付いてたわ!肉もあまり無かったからそのまま放置してたわ。
「尻尾ありました。皮ごと渡しても良いですか?」
「…………驚きだ。本当にデカいな。」
「足の皮は要りませんよね?」
「持ってるなら出してくれ。全長を把握したい。」
足の皮も4枚出す。肉は無いけど蹄付きだよ!
「蹄もデカい……。踏まれただけで死ねるな。本当、街に来る前に討伐されて良かったよ。こいつは何処にいたんだ?」
「……………森の中です。」
「いや、だから何処の森かって……聞いても無駄っぽいな。」
「どちらかといえば、グランレイン近くの森です。」
かろうじて街の名前が出て来た。でなければ、我儘領主の娘がいるクソ街です、とでも表現するしかなかったよ。
「そんな遠くの森だったか…。って言うか、お前も随分遠くから来たんだな。」
「歩いてたら着きましたよ?」
「はぁ?!歩いて?!ウソだろ?歩く距離じゃねーよ?普通、馬車使うだろ?!」
「馬車に乗ったら採取出来ないじゃないですか?!」
俺は、馬車萌は無いんだよ。だったら、歩いて採取だろ!それに、乗るなら黒○号か松○と決めているからな(願望)。
まあ、さっきの馬車の馬は可愛いかったけどさー。
ヤバっ!俺ってば、庭を全部悟郎さんのぷち砂漠にしちゃったから、馬屋とかどうしよう!!
畑の外周に運動場造って、馬屋を新設すればいいか?!
「おーい。何を考え込んでるが知らんが、情報ありがとう。今、討伐達成の報酬持って来るから待ってろよ。」
「…………はい。」
馬が来た時のハウス改善計画を今から考えておくか。脳内が、劇的な匠モードに入ってしまった。
実際、どんなサイズの馬が来るかにも左右される問題だから……今から逸って手を付けずに、準備迄に留めるか。
俺の頭の中は、まだ来るかも分からない馬の為の、環境整備計画で埋まっていた。馬だけに。
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