第58話 辺境での買物と屋台巡り

 お買い物〜お買い物〜!!

 ざっと市場を見て、商品の金額と品揃えを把握したので今から買いに行くぜ!


 ま、イモ類からだ。ジャガイモが2種。いわゆるメークインと男爵いもっぽいやつ。加えてサツマイモと長芋を購入。名前は違うが調べた結果そう判断した。


 次に葱。玉ねぎがあったー!長ネギも!あとポロ葱っぽいやつもあった!煮て、炒めて、鍋に入れてと活躍の場が目白押しだ。


 続けて豆類。乾燥豆パラ!いっぱい種類があって、ついつい売ってたばーちゃんと話し込んでしまった。

大豆、エンドウ豆、ひよこ豆、小豆、そら豆、いんげん豆、ピーナッツ!!

 乾燥して日持ちも良いし、運搬し易く、何より腹に貯まるんだよなー。スープに入れて食いたい!


 ホントはここで油も買いたかったんだけど、酸化してたんだよ。使う前から酸化してんじゃ色々駄目だろ。こっちでは保存方法が瓶とかだから、密閉は難しいか…。


 あと、嬉しい誤算はきのこ類!これも乾燥物が色々あった!しめじ、舞茸、エリンギ、エノキ、椎茸!茸類もいい出汁が出る優れものだ。

 やっぱ、森に囲まれた場所だから、周りの森で取れるのか?それなら俺も採取したいぞ!


 俺がウキウキショッピングをしていたら、やっと燻製を食い終えた悟郎さんが頭をポフポフして来た。


「悟郎さん、やっと燻製完食したの?」

「ニャ(うん)!」

「屋台巡りしても良いけど、お腹大丈夫?入るの?」

「ニャ(うん)!!」


 マジか…。入るならしょうがない。買い物は一度止めて買い食いに向かうか。


「じゃあ悟郎さん。食いたい物の探知任せて良い?」

「ニャ(うん)!!」

「あと、途中で俺が買いたい物があったら買い足しさせてな!」

「ニャニャッ(うん。分かった)!」


 俺達は、市場通りから屋台通り(俺命名)へと移動した。道が一本違うだけで、これだけ匂いも違うものか?と感じる程、屋台のある通りは食い物のいい匂いに満ちていた。


「悟郎さん…迷う程あるよ…。端から順番に戦法は使えないね。」

「ニャゥニャニャッ(探すから任せて)!」

「じゃあ、お任せします!」

「ニャーァ!ニャゥニャッ(あっち!美味しそうな匂い)!」


 悟郎センサーに反応ありました!まもなく到着します!これは…!串焼きですね!しかも数種確認出来ました!全部美味そうです!!


「すみません!頂きたいんですがこれ何の肉ですか?」

「おぅ!右からラビット、ボア、ホロトリ、最後にモウの串焼きだ!塩とタレから選んでくれ!」

「悟郎さん!食べた事ない肉だよ!先にそれで良い?!」

「ニャ(うん)!」

「じゃあ、ホロトリとモウを塩とタレ4本づつ下さい!」

「ありがとよ!全部で16本、1,280ゼルだよ」


 おぅ!高いじゃないか!味に期待してるぞ!頼んだ串焼きを皿に入れてもらい…早速頂きます!……先にホロトリ塩から。


………ああ!焼き鳥!これ焼き鳥だよ!!皮もパリッと焼けて美味しいぞ!味もハーブが入ってて美味い!しかもこれ塩単体でも美味いんじゃないか?!


「悟郎さんどう?俺この肉スゲー好き!皮がパリッとして美味くね?!」

「ニャッニャゥ(うんっ美味しい)!」


 続けてタレだ。見た時からこの照りがたまらんばい!って感じを醸してたんだよ!さあ食うぜ!!


 ……おぉ!!やっぱりプロのタレは違うぜ!スゲー美味い!長年使ってる秘伝の継ぎ足しタレでしょうかね?


「タレも美味い!いやコレ、タレが美味い!!」

「ニャッニャゥ(本当に美味しい)!」


 ホロトリ美味ー!これ森で獲れるんかな?……探すか!俺はこれで唐揚げしたい!!

 さあ、まだモウ串が残ってますよ!牛肉ではないかと思っての期待がこもってます!


「……モウまいうー!牛や牛!肉の旨味が濃い!」

「…………ニャ(うん)!」


悟郎さん夢中ですね。これで燻製作っても美味いだろうな…とは絶対に口にしない。また、ムッシャーがやって来るからな。


「タレもやっぱり美味いな!しかも肉にしっかり味が染みてる上に、肉汁と合わさるなんて、モウこれヤバ過ぎ!」

「………ニャニャ(うんうん)!」


 値段は高かったが、満足の行く美味さだった。そして新たな目標が生まれた。ホロトリとモウのゲットだ。これ確定!


 まだ食いたそうにしている悟郎さんを宥め、他の美味しい物を探す事にする。

 こんだけ屋台があるんだ。楽しもうじゃないか!ほら、早速悟郎センサーに掛かった店があったぞ!


「すいません!これ何の煮物ですか?」

「いらっしゃい!野菜とディアの煮物だよ!美味いから食ってってよ!」


 見た目は煮っころがし、又はスープのないポトフだな。しかもディアって事は鹿だろ?!食べるしかないだろう!


「じゃあ、2杯下さい!」

「毎度あり!600ゼルだよ!」


野菜と同じ大きさにカットされた肉がゴロッとたくさん入っていた。いい匂い〜!


「……はぁ。染み染み美味〜い。野菜から出た旨さを肉がしっかり吸って、その上肉もホロホロ柔らかいよ…。俺、悟郎さんのお代わりを止めておいて、自分がお代わりしたくなっちゃったよ。」

「ニャ、ニャゥッ(うん、いいよ)!」


いや!そうは行かない!ここは初志貫徹して、色々回ろう!待ってろよ!また来るぜ!!


 次に悟郎センサーが反応したのも煮物だった。ただ、さっきとは大分色味が違って赤かった。

 これは、トマトですか?トマトの赤ですよね?!そうだって言って!!


「すみません!この中身は何ですか?」

「これはトマ煮だよ。トマの実とモウの内臓を煮たもんさね。この見た目で敬遠される人もいるけど美味しいんだよ。」


 ファッ!これがモツ煮!いや、トマト入ってるならトリッパか?!食ってみたかったんだ!やったー!!


「ありがとうございます!2杯下さい!!」

「いや…変な子だね。そっちがありがとうは可笑しいだろう?こちらこそ、毎度ありがとうさん。200ゼルだよ。」


 おい!しかも安いじゃないか?!内臓は食うのまでの下準備に手間暇が掛かると聞くのに?!

 悟郎センサーに掛かったと言う事は、既に味に保証書が付いた様なものだよ?!もっと自信モツです!!

さあ、俺の寒い脳内駄洒落を温めてくれ!頂きます!


「〜〜!旨っ!コレがモツか!色んな部位が入ってそうだけど、みんな柔らかく煮えてる!脂のトロットロ具合ヤバいな!どう?悟郎さん?」

「………………………。」


 え〜〜〜、実況します。悟郎さん皿に顔突っ込んでガツガツ食ってます。無言の肯定ですね。


「悟郎さん。相談なんだけど、これお代わり確保しとかない?実はね、俺……お鍋持って来たんだ俺!」

「ニャァ(是非)ーーーー!!」


 さあ、お店のおばあさんと交渉だ。とても美味しかっんで、鍋売りして下さい!


「すみません。」

「あぁ、さっきの変な子か。どうしたんだい?」


 ん?何故に俺はおばあさんに変な子認定されたんだ?……まあいい。鍋売り交渉が優先だ。


「とても美味しかったです。ご迷惑でなければこの鍋に入る分売ってくれませんか?」

「買ってくれるのに迷惑もないよ。全部買ってくれたら早く上がれるねぇ。」

「じゃあ、全部下さい!」


 ズイッと鍋を突き出す俺。おばあさん、それにデカお玉でよそってくれる。全部で30杯だな。じゃあ3000ゼルで大丈夫か?


「2800ゼルだよ。」

「??30杯ありましたよ。3000ゼルですよね?」

「オマケだよ。気に入ってくれてありがとうさん。またおいで。」


 くぉッ!その心意気サービスしかと受け止めた!だが、俺も貰ってばかりでは気が済まない。

 俺の力作、クンコウギョの丸ごと甘露煮をお返しにしよう。これなら固くないからお年寄りでも食えるな!


「ありがとうございます。良かったらコレ、俺が作ったやつです。柔らかく煮たんで食ってみて下さい。」

「!!これは、クンコウギョじゃないかね?!こんな高価なもん貰えないよ!」

「俺が自分で捕ったんで、実質タダですよ?売る気も無いんで気にせずどうぞ。」

「……あんたホントに変な子だね。それなら遠慮なく貰うよ。久しぶりにじいさんにも魚を食わせてやれるしね。」


 そうか。森に囲まれた場所だから、川魚が珍しいのかな?俺ってば、ウッカリやっちまったか?

 でも、生じゃないし平気だろ。


 さあ、さっきの買物に続いて買い食いしたから、金貨以外の金がまた寂しくなくなった!!

 あ…。そう言えば、討伐証明を引き換えてないな。乙事○様の牙とか、売れるのかな?…しょうがない。また、さっきのマッド売却担当さんの所に行ってみるか。



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