第29話 へび祭り
前回はクソ虫ラッシュ。今回は蛇ラッシュ地帯に足を踏み入れたらしい。
そのまま這って近づくヤツ、砂に隠れて潜むヤツ。デザートマンバを筆頭に、ツチノコみたいな太くて短い体長のデザートアダー、平たい顔に角を生やしたデザートツノクサリ、俺の太ももと同じ様な太さで、しかも長さが4〜5mのヤツがトグロを巻いた姿は、俺のトラウマに抵触した。その名はデザートボア。
そんな各種の蛇がお出迎えしてくれた。中でもデザートボアが出て来た時の、俺と悟郎の温度差は際立っていた。
どうやら、俺のトラウマ抵触蛇は、悟郎にとってはご馳走だったらしく、食べたいアピールが激しかった。俺の足に前足を何度もタッチさせ、ボア野郎に視線を送る。
『ボク、アレ食べたいの!!』
その、クレクレ光線は俺を容易に射抜いた。
デザートボアは、図体の割には温厚な性質らしく、攻撃されなければ向こうから襲って来る事がなかった。
ビジュアル的に俺は回避を選択したが、悟郎のお願いを無下には出来なかった…。
「…分かった。男に二言はない。お前が従魔となった時“俺超頑張る”と言ったもんな…。マジ頑張るよ。ホントマジで…。」
名前 なし
性別 男
種族 デザートボア
レベル 28
属性 土
状態 普通
体力 49
耐久 42
力 38
魔力 12
知力 10
瞬発力 11
運 8
特技 巻付き 丸呑み
見た目通りのステータスだな。特技もパワー押し。本来なら、この瞬発力だと殲滅剣のお出ましで、→「ぶった斬る」を選択する所だが、本体が欲しいなら止めは悟郎にしてもらうしかない。
俺、超頑張るよ…………………………。
あの図体と耐久だと、投擲の威力も通り難い感じなんで、特技を併用して行くか。
「“
はい!投擲開始だよ!先ずは5投程投げて様子を見る。体力 49→34 おっ。やっぱ硬いな。では、遠慮なく。
俺の投擲が当たる度に、のたうち回るボアを薄目で確認しながら体力調整し、一桁まで削れた所で悟郎を投入!
相手がデカ過ぎて、位置取りに苦労していたが、上手く回り込んだ隙にヤツの目に猫パンチが入り、それからはスムーズだった。
途中「ニャッ!」と声を出した時に、一瞬、悟郎がピカった。あれが悟郎の“猫だまし”なのだろう。
いや、可愛いなオイ!!
両目とも悟郎に潰され、破茶滅茶にボアが暴れ出した。うぁー…キモっ!見たくない!でも、悟郎に何かあったら泣くのは俺なんで、ここは我慢の見せどころだ。
その後も悟郎は、如才なく攻撃を繰り返し、やっとボアがその動きを止めた。
「悟郎お疲れ!格上相手に良く戦ったな!手頃なサイズに切るから少し待つんだぞ!」
まず先に、やったぞ感を出している悟郎を労った。いや本当に可愛いなコレ!
だが、俺の試練はまだ終わった訳じゃない。寧ろ、ここからが本番とも言えよう…。
悟郎が食べやすいサイズにカットし食べる分を渡したら、残りは内臓を抜いて血抜きをし、皮を剥ぎ取り保管する。
ここまでが俺の役目であり、そして試練である。
「………さぁ、悟郎お上がり。」
悟郎に食べさせる分を先に用意し渡す。すると、悟郎は嬉しそうに齧り付いて、ウニャウニャ言いながら食べ始めた。
ボアって、俺の中ではイノシシだったんだけどなー。さっき、倒して悟郎に上げる前のボア肉を見たらさ、中々の結果だったんだよ。
【デザートボアの切り身:高タンパクで、程よく脂の乗ったボアの肉。砂漠においては、貴重なタンパク源となり、その血は乾きを潤す手段にもされている。食用可能。】
これは俺の食料候補にもあがって来た。蛇だけど。水分は、洞窟で汲んだ冷たい水があるんで血は不要だな。
皮は……………売れるらしいので保管する。スゲー嫌だけど。悟郎には、一番太い部位をあげた。
かなり大きなブロック肉だったんだか、悟郎はペロリと平らげてしまった。お前の全長より大きな肉だったんだが……。
お腹をポンポコに膨らし、毛づくろいをしている姿がまた激萌で、俺はスマホのカメラを使いまくった。
見えただろ?画像データが激増する未来が。
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