第30話 転がる草

 それから俺達は、蛇ハンターとなった。


 悟郎の食欲が旺盛である事と、この砂漠からの脱出にまだ見通しがつかなかった為だ。


 お陰で、悟郎のレベリングも順調に進み、わんぱくでもたくましく育って来たと思う。


名前 悟郎(士郎の従魔)

性別 男

種族 デザートキャット(転移者の保護中)

レベル 18

属性 土

状態 ヤル気満タン


体力 34(+30)

耐久 28(+30)

力  29(+30)

魔力 31(+30)

知力 30(+30)

瞬発力 33(+30)

運 67(+30)


特技 猫だまし、砂飛ばし


 そして、俺の従魔となった影響だと思うが、悟郎にも3倍マジックが掛かってしまった様だ。


 恐るべき3の倍数……。お願いだから、アホな子にはならないでくれ!


 俺たちは、食用ボア蛇を大量に確保し、満足してから道を進めて行った。


 相変わらず砂ばかりで、もし、1人で歩くだけだったなら、俺はおかしくなっていただろうと思う。悟郎と会えたお陰で、その単調な道程から来る苛立ちも、先の見えない不安も無くなっていた。何より全然愚痴ってねぇし。


「いやこれマジで、悟郎が居なかったら耐えられなかったかもしれんわ。精神的に。」


 背後からダッシュして、俺の背中を駆け上がり、肩の上に座った悟郎を撫で回しながらそう独り言ちた。


 画像データは順調に増え、異世界に来てから得た容量無限の恩恵に初めて感謝した。


「悟郎。マジサンキューな!これからもよろしく!」


 悟郎に感謝を述べ、肩に乗せたまま歩いていく。今日は、いつもより風が強く吹いているな。


 砂嵐にでもなりそうな風だが、そうなったら引き籠もるか。そんな風に考えていたら、悟郎が警戒の唸り声を上げた。


 悟郎の目線を追って、俺も同じ方角に目をやる。遥か先に茶色い球体が複数見えた。そいつ等は、風に乗って転がる様に近づいて来る。


 よく見ると、軽く転がるそれらは、乾いた草の固まりで、確かダンブ○ドア……じゃなくてタンブルウィード!


 位置的に、こちらは風下だったんで、避ける様に歩みを逸した。


「うーん。あの草だんごが転がって来た方向には、その元になる植生がありそうだけどな……。」


 気ままな風が、何処ぞから運んで来ただけの可能性も十分あったので、進路は変えずに進む事にした。前を横切るタンブルウィードは、違う種類の枯れ草同士がぶつかり、絡まり、更に大きな固まりに育ちながら転がっている。


 今日、敵と遭遇しない理由がなんとなく分かった。


「もうちょい小さけりゃ、悟郎の遊び道具にもなりそうだったのにな…。」


 思考が大分、従魔ファーストに染まって来た俺である。


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