第28話 悟郎のレペル上げ

 これからの行程で、俺と悟郎のレベルアップも平行してやって行こうと思う。何せ、悟郎のレベルがたったの“5”しかない。


 これは、速やかにレベリングしないと、心配で心配で俺の気持ちが休まらない。元々、この気候にも適応した種族のはずなので、適正レベルにさえなれれば、悟郎も充分戦えるはずだ。


「悟郎。これから外に出て、敵と遭遇すると思う。お前が生きて行く為にも、強くならなきゃまたクソ虫共のいい様にされちまう。俺がしっかりカバーするから一緒に戦ってくれ。いいか?」


「にゃうん!」


 悟郎から良い返事が貰えたので、早速、昨日の続きを進もう。一緒に外に出て、また同じ方角へ向かう。目標は、昨日と同じ様に一番遠い砂丘に決めた。


 砂地を歩く悟郎はすこぶる軽快で、デザートの名前の通り難なく進んで行く。砂に残った足跡のまあ可愛いこと……!俺は記念にその姿を写真で撮影した。


 昨夜は、二人でゆっくり休み鋭気を養った。しかも、悟郎が俺の顔の横に寝てくれたんだ!!


 とても幸せだったと報告しておこう。出来れば今夜も是非お願いします。


 手持ちの食料が蟻蜜しか無かったので心配したが、悟郎は喜んで食べてくれた。お代わりをせがまれたくらいだ。


 栄養価が高いとしても、単品では保護者として立つ瀬がないので、出来れば新たに食料となる物を手に入れたい。


「さぁ、気張って行くぞ!悟郎!」

「にゃっ!」


 素晴らしいお返事だ!俺の気力が+10されたかの様にみなぎってくるぞ!これからは、共に戦い、共に楽しみ、共に食らい、共に成長する。


 そして背中を預けられる戦友ともとなろう!!


「……ぅぅぅにゃぉ!」


 ん?悟郎が何かを警戒してる。砂上には、何かが這った特徴的な模様が残っていた。そして、不自然な砂の盛り上がり。


 何かが潜んでいるとしか思えないが、姿は見えない。わざわざ、敵の守備範囲に入る事も無いだろう。

その場で、盛り上がった砂上に向け投擲をする。


「悟郎ナイス索敵!毒持ってそうな蛇が出て来たぞ!」


 投擲に反応し、砂から出て来たのは黒灰色のクソ長い蛇だった。2m超はありそうなその全長。正直、長過ぎてキモいぞ!


名前 なし

性別 男

種族 デザートマンバ

レベル 22

属性 土

状態 負傷


体力 38(-11)

耐久 26

力  25

魔力 22

知力 19

瞬発力 24

運 12


特技 デスバイト


 おう。死のバイト……違った、死の噛みつきバイトか。噛まれたら、溶血して死ぬとか、麻痺食らって丸呑みコースのどちらかだろうな。


「悟郎。蛇食うか?確か食料にしてたよな?」

「にゃあ!!!」

「よーしよしよし!援護をするから、倒して食っておしまい!」


 野生下の砂猫が、野ネズミや蛇を捕食していたから悟郎も行けると思ったんだよ。


 しかし、覆せないレベル差がまだあるので、もう一投援護しておく。俺の投擲が当たったのを見て、悟郎は素早く蛇の頭目掛けて猫パンチを繰り出した。


 ヤベー。超可愛い!!写真撮りたい!!


 初撃のパンチで相手をぐらつかせ、続けてパンチラッシュを繰出し、首ガブッで止めを刺す。


 素晴らしい!エクセレント!マーベラス!!ファンタスティック!!!悟郎への賛辞が止まらない!!


 悟郎が倒した蛇は、消えずにそのまま残り、悟郎のご飯となった。


俺の倒した敵 → 魔石等のアイテムに変換

悟郎の倒した敵 → そのままのしかばねを残す


 これは、要検証だな。今まで遭遇した敵を食おうとは1mmも思わなかったが、今後出て来る敵の種類によっては、現物の方が望ましい場合もある。


 俺がカバーして悟郎に止めを刺してもらえば、悟郎のレベルアップにもなり食料を得られ、Win-Winの関係で立ち回る事が出来そうだぞ!


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