第27話 可愛い従魔

 まだ意識を戻さない砂猫を抱え、リビングのソファに座った。清浄の術で綺麗にすると、フワッとした薄いベージュ色の毛並みが表れて来た。


 ……正直メッチャ可愛い!!嫌われたら男泣きするレベルで可愛い!!頭をソッと撫でると、柔い毛の感触に頬が緩む。


「………ヤッベ……。超可愛いんですが?破壊力が限界突破してるんですが?!これに威嚇されたりしたら、確実に俺は膝を折る自身がある!」


 こんなに可愛いにゃんこをあのクソ虫共は、寄って集って食おうとしやがって……!自然の摂理でも許さん!今後も見掛けたら全て、天に代わって成敗してくれるわ!!


「……!ゴロゴロいってる!!ヤバいヤバいマジでヤバい!俺の庇護欲がもう臨界ギリだぞ!ニャンでこんなに可愛いんだぁぁー!!」


 その日、俺はニャン語を秒で会得えとくした。静かに俺が悶えていると、砂猫がブルッと動きその目を開けた。


「……にゃぅ。」


 そう、ひと鳴きして、俺を見上げると、手に頭を擦り付けて来るではないか!!頭を撫で返してやると、もっと撫でろと言うかの様に更に強く擦り付けて来やがる!


 俺はもうキャパオーバーで、砂猫を驚かさない為、奇声を発しない様に己を抑えるのがやっとだった。


「はぁ〜〜〜!可愛い過ぎ!お願い致します!是非、うちの子になって下さい!!マジでお願い致します!!」


 気づいたら、土下座も辞さない勢いで、懇願レベルのお願いを砂猫にしていた。


 だが、それでいい。


 俺に必要なのは、他でもないお前だ!


 今日の探索は、これにて終了とする!ここからは、俺とお前で親睦を深める時間としよう。


 それが何よりの急務だ!


 先ずは、自己紹介からだな!俺は士郎だ!何?!名前はまだ無いだ…と?!


 是非とも、それがしに名付けさせて下さいませ!!!それがしのセンスでは、ご満足頂けないかもしれませんが、精一杯の努力を致します!


〘俺、熟考中…………………、………、……!!〙


「………俺、士郎。お前、悟郎ごろう。さとい、かしこいと言う意味を込めている。決して、ゴロゴロが可愛いかったからだけではない!気に入らなかったら、不甲斐ない俺を責めてくれて構わない。如何であろうか?」


名前 悟郎(士郎の従魔)

性別 男

種族 デザートキャット(転移者の保護中)

レベル 5

属性 土

状態 ご機嫌


体力 15(+30)

耐久 9(+30)

力  10(+30)

魔力 12(+30)

知力 11(+30)

瞬発力 14(+30)

運 48(+30)


特技 猫だまし


「…ぃやったーーー!!よろしくな!!悟郎!!メッチャ特典付いたじゃん!ヤベー!俺、超頑張る!!虫だろうと何だろうと超倒すよ!!」


 その砂猫のステータスを見た時、俺のヤル気スイッチが壊れた瞬間であった。


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