第26話 ゴミ殲滅したら猫拾いました

 俺のぐちを聞いてくれ。5分なんて言わずに30分くらいは聞いて欲しい。


 さっきから、足が長くて、サイズは手の甲くらいあるカナブンみたいな黒いヤツ等が、俺に群がろうとするんだ!しかも団体で!


 ヤツ等はあれか?俺に新たなトラウマを形成する為の刺客なのか?!


 どっから湧いて来たんだか、最初は1匹だけで、いつも通り石を投げて足を飛ばし、隙が出来た所を踏み潰した。


 倒した後は、これもいつも通り魔石になった。好ましく無いビジュアルだったが、能力的な情報は把握しておこうと調べてみた。


名前 なし

性別 男

種族 デザートゴミムシ

レベル 20

属性 土

状態 超空腹


体力 34

耐久 29

力  22

魔力 9

知力 13

瞬発力 21

運 15


特技 悪食 フン飛ばし


 …………うん。何か凄く嫌な魔物なのが分かった。俺は超腹減りのアイツ等に、捕食対象としてロックオンされたと。ヤツ等に集られたら最後、骨も残んなそうだな…。


「何でこうも次々と来んだよ?!砂漠には他のエサがないのかよ?!……!!クソを飛ばすな!リアルクソ野郎共が!!」


 幸い、ヤツ等はその長い足にダメージを受けると、バランスを崩し易く、そこから一気に倒す事が出来た。たが如何せん、数が多い。ホント砂から無限湧きしている。


「蟻の次がコイツ等とか、ホント最悪!!何でこんなに虫率高いんだよここは!!」


 この足止めのお陰で、まだ目標にしていた砂丘の頂点にも届いていなかった。それでも時間は無情に進み、辺りは薄闇に包まれ始めている。


 思う様に進めず歯痒い…。これはアレか?標高の高い山の頂を目指している登山隊が、悪天でベースキャンプに閉じ込められた時に感じるアレと一緒か(多分違う)?!


「俺もベースキャンプ(マイハウス)に………いや!逃避は駄目だ。虫共に辟易へきえきしていたら、行動限界が来ちまう!」


 心の中で、逃げちゃだめだ✕3を唱え、目標を殲滅するべく虫共を倒しまくった。暫らくしてやっと目指していた砂丘の頂点に辿り着いた。


 そして、次の目標地点を決める為、また周囲を見回す。


 すると、少し砂丘を下った辺りに少数の虫溜まりが出来ていた。何に集っているのかは見えなかったが、ヤツ等は有無を言わさず殲滅対象なので、即投擲を開始した。


「このゴミ共!くたばれ!滅べ!滅せよ!!淘汰されろ!!!」


 俺のヘイトを稼ぎ過ぎた様だな!こんしんのいちげき!を喰らいやがれ!


 5匹の虫溜まりを潰し、集られていた対象を確認する。赤い血溜まりの中には、微かに呼吸をしている動物が横たわっていた。


 余りに全身血塗れになっていた為、それが何かも見た目には判別がつかなかったくらいだ。


博覧強記はくらんきょうき。」


名前 なし

性別 男

種族 デザートキャット

レベル 5

属性 土

状態 瀕死


体力 15(-13)

耐久 9

力  10

魔力 12

知力 11

瞬発力 14

運 48


特技 猫だまし


「!!砂猫!!わぁーーー!死ぬな!!薬!薬!!」


 俺は慌てて、リュックから万能薬と体力回復薬を出し、とりあえずぶっかけた。正しい用法・容量が分からなかったのでスマン。


 少し様子を見て再度確認すると、体力のマイナス表記が消え「15」に戻っていた。


「……これで大丈夫だと思うけど、気付かないな…。うちの子になってくれるかな?」


 相手が可愛いビジュアルの砂猫だとしても、懐かない場合もある。寧ろテイマーでもなければ無理の可能性が高い。


 それでも一縷の望みを持って、俺は、砂猫をハウスに連れて帰った。


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