第19話 ナメプは止めましょう

「さぁ、死合おうか。」





 …………サーセン!言って見たかっただけッス!


 俺が通い詰めてた図書館が、歴代の素晴らしい漫画を所蔵していて、最新の話題作より旧作に馴染みが深くて、つい…。


 でも、しょうがなくね?だって、一子相伝の伝承者シリーズなんかは、今だに使われる珠玉のセリフがオンパレードよ!


 花がある前田家のあの御方も、名言バンバンぶち込んでくるしさー。もう、マジサイコー!


 ………失礼。今はそれどころじゃなかった。この先に俺を待っている強敵ともがいるんだ。


 先に周りの雑魚へ、百裂石(自称)をお見舞いし、心ゆく迄、強敵ともと存分に語り合おうか!


 相手が身動き取れないのをいいことに、おちゃらけた。


 目視でだいたい、羽付き50、地上蟻が30匹はいそうだ。この空間は、暗いんじゃなくて、黒かったのな。ヤツ等のせいで。


 プランとしては、女王様が“統率”を持ってらっしゃるから、俺の残念ワンワン“喪家之狗そうかのいぬ”で、指示系乱せれば、羽付きもいつも通り倒し易くなるんじゃね?。地上蟻は近付かれない限り、後回しでお相手しよう。


喪家之狗そうかのいぬ


 それを合図に、羽付きへの攻撃を開始する。正直、4〜5m上の天井に密集してくれているお陰で、最初は投げれば当たる素晴らしい状況だった。


 出来得る最速の投擲で、羽付き共を減らし、飛び出したヤツから順次狙い落としていく。


 半分くらいに減った時、急にヤツ等の動きが纏まり出した。女王様に掛けた特技が切れたかもしれない。


 再度、特技を放ち、羽付きへ投擲を繰り返す。ここまで何百と言う数を相手にした為か、怯む事無く対して行ける。


 あと少しで、羽付きを一掃出来る所まで来たが、今度は地上蟻が女王様に蜜を渡すのを止め、こちらへ向かい始めた。


 前列の蟻共と、女王様に特技をプレゼントし、残りの羽付きと地上蟻へ攻撃を続けた。


 その時、顔を掠めて何かが飛んで来た。頬にスウッと傷が走り、一筋の血が伝う。


「……はっ?」


 一瞬、呆けた。しかし、再び飛んで来たそれが何か、今度はしっかり把握出来た。


「……女王様の蟻弾か!」


 酸でも無く、毒でも無い。その代わりにスピード特化。しかも、的確に頭を狙って来るあたりが流石女王様。やってやろうじゃねーか!舐めんじゃねーぞゴルァァァァ!


一球入魂いっきゅうにゅうこん!」


 お返しに、特技上乗せで女王様の頭めがけ、振りかぶって思いっ切り一投する。的がデカいかくて助かるッス!あざーっす!!


「グギャャャャッーーーー!」


 投げた石は、しっかりと女王様の目にヒットし、そのまま深くめり込んだ。痛みに怯んで騒ぎ散らしている隙に、他のヤツ等を減らしていく。


 そして、羽付きを全て倒し、地上蟻もかなり削る事が出来た。片目を潰されたせいか、その後は女王様の蟻弾も狙いが甘くなり、楽に対処出来る様になっていた。


 暫らくして、女王様への投擲を交えつつ、やっと地上蟻を殲滅し終える。


 さぁ。こっからは一対一タイマン勝負だぞ!


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