第18話 女王蟻との遭遇

 あぁぁぁぁぁぁ〜〜〜〜〜!蟻地獄からの、地獄関連で暗黒の小学校時代を思い出しちゃったじゃないか!


「あーーーホントにクソ。マジ記憶から抹消したい!!」


 アリンコラッシュとタダ働きに等しい討伐作業が、脳へマイナス思考の呼び水となる余計な刺激になっていた。その為、ストレスのセルフ生産人間状態に入ってしまった。


「今の俺の時給、300円くらいな気がする……。こんな夜間〜早朝の時間帯なのにぃぃぃぃぃ!!最低賃金守れやクソが!!」


 眠れていないせいもあり、異世界で同じ様に換算してもしょうがない事でイライラし、それをアリンコ共へ物理でぶつけてる。


 それでもキチンと進んでいるあたりが、余計、俺に“作業”と思わせている理由かもしれない。


 道は相変わらず廊下の様に一本道で、下り傾斜なのも同じだ。変わり映えしない環境が、延々と続きそうな不安を煽る。


 回廊の様に、いつの間にか元の放置されていた場所に戻ってたらどうしよう…。無限回廊とか、ひぐらしが鳴いて、惨劇が繰り返されてしまうの不可避だろ!


「…ホントマジで、出口はあんのか?」


 視界が以前より広くなったのか、動く対象を認識すると、直ぐ様投擲して倒していた。今ならノールックでも行ける。


 まだ後ろに目はついてないが、その内、気配察知でも覚えないかと期待している。きっとレベルも上がっているはずだし。


 すると広い空間に出た。地面には不自然な凸凹は無い。辺りは、今までより暗さが増して、せっかく広く感じていた視界を塗り潰して来た。


「………いや、マジ勘弁してくれ。このフラグは絶対に回収したくない!!」


 まさかのスタート地点に似た空間に愕然とする。似ているだけであってくれ!!


 確かめるべく、歩みを進めると、最奥から甘い匂いが漂ってきた。これは、間違いなくお世話になっている蟻蜜の匂いだ。


 でも何で?瓶に入っているドロップでは匂いが漏れないし、ヤツ等から直接匂ってくる事もなかった…。


「………奥の黒い塊はなんっ……!」


 そこでやっと全貌に気付いた。サイ?カバ?とにかくデカい蟻が横たわっていた。


 全長は4mを超え、腹が異常に肥大し、その前脚の一節だけでも1mは優にある。そして、立派な羽も付いていた。


「………女王蟻。」


 これだから異世界は!デカ過ぎるだろ!!下方には複数の地上蟻が女王へ蜜を渡しており、羽付きは天井に張り付き身動きせずに警戒をしている様だ。


 女王蟻と比較すると、ヤツ等も小さく見える不思議。とにかく先に調べないとな。


名前 なし

性別 女

種族 ケイブアント(女王種)

レベル 20

属性 闇

状態 産卵中


体力 75(-18)

耐久 51

力  38

魔力 5

知力 20

瞬発力 0

運 15


特技 蟻弾、薙ぎ払い、統率


「…産卵中で動けないのか?しかも体力マイナスって、お疲れですか?」


 未だに運の数値が一桁の俺に巡って来た、微かな幸運。あんなデカいヤツに動かれたら、それこそあっと言う間に距離を詰められ、その前足で薙ぎ払われるだろう。


 俺にとっては、千載一遇の好機。逃しちゃいけない…まさに殺るなら今でしょ!


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