第6話 アレが嫌いな理由(言い訳)

「はぁ……。あれは駄目だろ…。もう、直視無理…。見た目が全身モザイク処理を必要としてるっての。」


 苦手ベスト3に入ってる生物の巨大化バージョンに、俺のSAN値きっとマイナスまで逝ってる。子供の頃はまだ大丈夫だったのに……。


 きっと、小学生の時に巣から落ちたムクドリの雛を育てたあの経験が、俺をウネウネ系の生物嫌いにしたんだ…。


 俺が拾った雛鳥は、巣の位置が高過ぎて戻すことも出来ず、そのまま育てる事にした。


 雛鳥を拾った後、飼育相談をしたペットショップのおっちゃんが、“練り餌だけじゃ消化不良起こすぞ〜。虫食わせないと虫!”と言って、オガクズに入ったミルワームなる物を俺に買わせた。


 オガクズに隠れてたから俺は気付かなかった…。あの中に沢山のミルワームが、生きたま入ってるって。


 “ピンセットで摘んで食わせろよ〜。”と、おっちゃんに言われた意味を家に帰ってから知った……。


 ヤツ等、超元気にのたうち、ピンセットから逃れようとしやがる。摘むも地獄、逃すも地獄。見るのも地獄。これは、さっさとピー助(ムクドリ)に食ってもらうしかない。


 俺はピー助が巣立つまで虫をあげ続けた。時期が丁度良く、桑の実も公園に生っていたので、それもデザート代わりに食わせた。


 ミルワームの良質なタンパク質と桑の実の豊富な栄養素(ビタミン類、鉄分、アントシアニン、カリウム、亜鉛、マグネシウム)を摂取し続けたピー助は、それはもうムチムチ・ツヤツヤに育ち、元気に大空へ羽ばたいていった。


 きっと、その育生経験時に俺のワーム受容限度が上限に達し、これ以上のワームは見るのも嫌な今の状況に到った。これがワーム系断固拒否の原因(言い訳)です。


「……俺知ってる。まだ沢山、この下にワームが埋まってるって。あのデコボコの数……単体ではありえんもん……。」


 しかも、怪しげな瓶をさっきのワームがドロップしていきやがった……。嫌だけど確認はする。嫌だけどさぁー!


【ワームの体液:ポーションの材料になる。売却相場20ゼル〜50ゼル】


「ちょっと待て!!何のポーションに使ってんだ?!異世界はこれだから怖いんだよ〜!ヤツの体液なんて、混ぜるな危険だろーが!!」


 もし、この洞窟を無事抜けれたとしても、異世界製品は迂闊に手を出さない。これ決定事項!!俺は、郷に入っても郷には従わない。ワーム入りなんて絶対に拒否だ!!


 ワーム瓶を蹴り飛ばし、先へ進もうとすると、またあの振動が来た……。


「もう来んなよ〜!俺、会いたくなくて震えてる〜!」


 ヤツはもう俺をロックオンしているんだろう。迷わず真っ直ぐ来てやがる…。


「あぁぁぁぁー!兵器で一掃したい!姿を目にする前にぶっ飛ばしたい!!」


 再度、投擲の準備をする。俺にはコレしか無いからな…。接近戦マジ無理だから。


 本当は逃げ出したい。たが、逃げた先でヤツ等に囲まれでもしたら、それこそが本当の地獄だと……マジで耐えられんと……だから、ここでどげんかせんといかんと。

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