これはとある黙示録

夕日ゆうや

スパイ

 この世界には情報で溢れている。

 情報を制する者はこの世界を統べる。

 そう言われるほどには情報は意味を持っている。

 スパイと呼ばれる者たちが各国の情報を受け渡し、世界を陰から牛耳っている。

 情報一つで戦争にもなり得る。

 核兵器、無人機。

 今の世界はボタン一つで全てを破壊してしまう――。

 跡に残るのは、血と涙と悲鳴だった。

 あるのは悲惨な世界のみ。


 この世界には裏の世界がある。

 俺はスマホを操作し、暇を潰す。

 恩返しと言う言葉は俺の辞書にはない。

 静かに物事を見据え、そして情報を得る。

 俺はスパイだ。

 裏社会を生きる者には分からないこともある。

 なんの知識も持たない人が表舞台を整える。

 そう思っている。

 俺には両親も友達もいない。

 孤児である俺はとある機関に拾われ、そこでスパイの知識を得た。

 俺は一人でとある者のスパイを任された。

 雷鳴らいめい高校の一年。そこに俺は転入することになった。

 俺はこれでも十六。

 高校に入ると、俺はまずターゲットを探す。

 コードネーム《アリオス》。

 それが世界をひっくり返す人の名である。

 その情報を引き出すことで世界は秩序を保てる。

 秩序があれば人は生きていける。

 世界は俺のような者がいて初めて秩序を与える。

 力で牛耳る世界だ。

 暴力に反対する者は多いが、力なくば、世界を、民草を守ることすらできない。

 それがこの世の心理。ことわり

 いにしえから人の脳に住み着く邪悪な陰。

 人が生き物である証拠。

 その次に必要なのが情報だ。

 全てにおいて情報戦になった世界。

「こちらブルーロック。ホワイトアクア、奴の名前が分かった――」

 静かに告げるとホワイトアクアはにやりと口の端を歪める。

 世界に秩序を与える者・ホワイトアクア。

 俺は彼女に付き従うまで。

「奴の名は霧島きりしま優芽ゆうめ。組織の一員だ」

 この行動が世界の平和につながると信じて……。

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