第5話

五打目

◉力量


(あなたの好きそうな仕様にしたとか言ってたなアイツ。RPGのことかよ。ていうかこれ本当に現実か?幻覚見てないよな?)と不安になるジンギ。


「しかし、先生は守護騎士ガーディアンか。ピッタリだな」

「何のこと?」と西川晃にしかわあきらが言う。ジンギはアキラのその高い雀力に敬意を表して『先生』と呼んでいた。

「いや、なんでもない」

 そこへマネージャーの萬屋がやって来た。

「おう、北山。来てたのか、いつも協力ありがとうな」と言う萬屋勝の上にはバトルマスターLevel65とあった。

(お!上級職バトルマスターのレベル65だと?!やるなマサルめ…)


「あー、ジンギさんー。いらっしゃいませー!」と挨拶しに南上虎徹なんじょうこてつがレジ奥から寄ってきた。


「よう、コテツ!」(こいつは何て書いてあるのかな)


すると、コテツのジョブは意外にも基本職の(魔法使い)と出ていた。


(なんだ、こいつあんなに強いのに基本職か)


しかし…


魔法使いLevel97


「きゅ!?きゅうじゅうなな!!?」


「何を言ってるんださっきから?」とマサルが言うがそれどころではない。レベル97とは経験値いくつで辿り着くんだ、もうあと2で上限じゃないか。

(この男、若いのにとんでもないレベル。よほど鍛錬していたのだろうな。あの力は才能だとばかり思っていたが…誰よりも努力の男だったか…)


 その日、この3人との麻雀をしたが、萎縮してしまってぼろ負けした。自分の職業やレベルはまだ知らないが、絶対こいつらに勝ててる気がしない。

(知らない方が良くなかったか?足枷になってる気がするが)


 まだ、ジンギはこの能力の使い道をわかっていなかったのだ。これは勝てない相手と戦う事を避けるための能力。つまり、ギャンブルで生活していくためには最も重要な『力量レベル差』を見極める能力なのである。だが、そんな素晴らしい力だということを理解してないジンギは「ちくしょー。変なもの見たから意識しちまって負けたじゃねえか!なんだあの力」と、文句を言いながら帰るのであった。

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北山銀次物語 光野彼方 @morikozue

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